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【第19回】――シック

連載
ハマ・オカモトの自由時間
公開
2013/04/23   18:20
更新
2013/04/23   18:20
ソース
bounce 353号(2013年3月25日発行)
テキスト
構成/編集部


ハマ・オカモト先生が聴き倒しているソウル〜ファンクを自由に紹介する連載!



【今月の課題盤】CHIC 『Risque』 Atlantic(1979)

今回はシックの79年作『Risque』を紹介します。デヴィッド・ボウイやマドンナなど多くのヒット曲を手掛けたプロデューサーでもあるギタリストのナイル・ロジャースを擁した、70年代のディスコ全盛期から活動するグループですね。何と言うか、オシャレな感じ(笑)。黒人ならではの直感やパワーで押すファンクなどとは違うエレガンスがあるんですよね。ナイルのギターが使うコードとか、ピアノやストリングスが入ってるところにもすごく魅力を感じます。“Le Freak”(邦題〈おしゃれフリーク〉)やシュガーヒル・ギャング“Rapper's Delight”などのサンプリング・ソースとしても有名な“Good Times”はよく知られているかと。

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ギズモ!

この間知って驚いたのが、東京事変のヴィジュアル・イメージはシックだったらしいんです。そんなきっかけもあって、改めてちゃんと聴いていたところに、この間リリースされた『奥田民生・カバーズ2』のレコーディングがぶつかって。ここでは民生さんの“サウンド・オブ・ミュージック”を演っているのですが、原曲はロックンロール然としたものだから、跳ねたファンキーな感じでカヴァーしようかと——ひとつのベースラインのループありきでずっと進んでいる“Good Times”みたいに、メインになるベースラインが決まっちゃえばいけるなって思ったんですよ。僕たちにもそういう曲がひとつ欲しくて。とはいえ原曲はたくさん展開があるものだから、きっちりループだけで作ることはできませんでしたが、われながら上手いこといったと思います。

いま4つ打ちの音楽って多いじゃないですか。確かにノリやすいので。でも当時のディスコ音楽を聴くとそれだけじゃないっていう感じがあるし、ベースがいかにリズム楽器かっていうのがわかる。シックの場合はギターもそういうところがあって、カッティングしかやってない。ベースとギターのバランスがすごくおもしろいですよね。僕はこういう曲で踊らせたい。いままでは、僕らが好きな類の音楽を体現することはできても、どこかエセ感を出すことに抵抗があって、それをやるのに躊躇していたところがあったんです。でもこっちは曲を聴いてもらって、気に入ってもらうことが基本だから、そういうことに臆するのは損だなと。〈これ○○のパクリじゃん!〉って言われても〈イェーイ!〉って言えるぐらいのマインドがいまはあるという提示の一曲になったかな。今後はオリジナルでそんなアプローチをしてもおもしろいかと思っています。

 

PROFILE/ハマ・オカモト



OKAMOTO'Sのヒゲメガネなベーシスト。最新作『OKAMOTO'S』(ARIOLA JAPAN)が大好評! 相変わらず全国ツアーを絶賛敢行中! 『奥田民生カバーズ・2』にバンドで参加しています。その他、最新情報は〈www.okamotos.net〉へGo!