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Dragon Ash

連載
NEW OPUSコラム
公開
2013/07/03   00:00
ソース
bounce 356号(2013年6月25日発行)
テキスト
文/宮本英夫


陽はまたのぼりくりかえす——進化を止めない彼らの道程を詳らかにする初のライヴ映像集!



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97年のデビュー当時から2011/12のカウントダウン・ステージまでを網羅した、Dragon Ashのキャリア初となるライヴ映像集「LIVE & PIECE」。ほぼこれまでの全ツアーから数曲ずつピックアップされたアンソロジーで、小気味良い編集のおかげで200分超にもかかわらずスイスイ観られる。表題の〈PIECE〉からも窺えるが、ワンコーラスしか聴けない曲があるのは残念な気がする……が、しかし、彼らのヒストリーを追うという意味ではアリか。特に90年代の映像を観られるのは、長年のファンにはたまらないだろう。

まずは最初期となる97年11月に行われた渋谷ON AIR WEST公演での、降谷建志、馬場育三(IKUZONE)、桜井誠の3ピースによる初々しい演奏が目を引く。当時はグランジやハードコアに近い音楽性だったが、翌98年10月の渋谷CLUB QUATTROからDJ BOTSがターンテーブルを操り、降谷がラップするパートも大幅に増えたミクスチャー時代が到来。この変化に対する観客の反応は劇的で、99年の映像では“陽はまたのぼりくりかえす”“Under Age's Song”などが熱狂的な支持を受け、思わず降谷が涙ぐむという名場面もしっかりと押さえられている。

99年以降は横浜アリーナ、東京ベイNKホールなど大会場中心となり、降谷建志改めKjのマイク1本で暴れ回るスタイルが定着。2001年からはドラムンベースなどエレクトロニックな要素を採り入れるようになり、その頂点と言えるのが2002年11月、NKホールでの“FANTASISTA”の名演だ。2005年以降はまた一転してラテン音楽にも接近し、Kjがガット・ギターを掻き鳴らして、他メンバーがパーカッションを叩きまくる。さらに2011年のツアーでは改めて〈ミクスチャー〉を旗印に、これまでに見せてきた音楽性の引き出しを総動員した楽曲を披露。バンドの集大成を示すステージとなった。

使用楽器、ファッション、ヘアスタイルに至るまで、映像だからこそ楽しめる、飽くなき進化を求めてきたDragon Ashのライヴ履歴書。IKUZONEへの追憶も込めて、永久保存したい作品だ。



▼Dragon Ashの2013年のシングル“Here I Am”(MOB SQUAD/ビクター)