こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

NEWS & COLUMN ニュース/記事

キリンジ

連載
NEW OPUSコラム
公開
2013/09/25   00:00
ソース
bounce 359号(2013年9月25日発行)
テキスト
文/岡村詩野


泰行在籍時のラスト・ステージを収めた、第一期キリンジの集大成!



弟・堀込泰行の脱退前最後のツアーから、ファイナルとなる今年4月12日のNHKホール公演を丸ごと収録した映像作品(ツアー・ドキュメンタリーやオーディオ・コメンタリーも特典収録)。伸びのあるハイトーン・ヴォーカルでキリンジの顔を長らく背負ってきた泰行だが、極端に感傷的になることもなく、初期の人気曲“双子座グラフィティ”“風を撃て”などが並ぶ前半から淡々と演奏が進んでいく。そんななかでハイライトと言えるのが後半、〈踏み出すなら今がいい/祝い酒酌み交わそう〉という締めの歌詞が感動的な“TREKKING SONG”。兄・高樹がダブル・ネックのギターを弾きながら、途中にアイリッシュ・トラッド風のホイッスルを披露するこの曲で、ペダル・スティールの田村玄一、ドラムの楠均らを交えての成熟したバンドの姿を確実に伝えている。そして最後は、高樹が作詞/作曲した“悪玉”。今後もキリンジを続けていく彼が歌う、〈マイクよこせ、早く!〉という言葉で終わるこの曲で幕……という軽い皮肉もこのユニットらしい。第一期キリンジのラストに相応しい、ハレルヤ!と叫びたくなる清々しい33曲だ。



▼キリンジの2013年作『Ten』(コロムビア)