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第8回 ─ フォーク・インプロージョン来日ツアー最終日@渋谷nest 2003年6月14日(土)

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2003/07/14   14:00
更新
2006/01/19   18:37
テキスト
文/原田★星

90年代の米インディー界を作り上げた人物のうちのひとり、ルー・バーロウのユニット、フォーク・インプロージョン初来日公演をレポート


元ダイナソーJr.という肩書きを持ち、90年代の米インディー界を作り上げた人物のうちのひとり、ルー・バーロウ。セバドー、セントライドーなど、多数のユニットを休業し、現在彼がメインで活動しているユニットが、フォーク・インプロージョンだ。94年から活動をしているこのユニット名では初となる来日ツアーが、6月9日~14日の間に行われた。ということで、ツアー最終日14日の公演をレポート。

最初の出演は、定形外シンガーソングライター、二階堂和美(こちらにインタビューを掲載中)。アルバム『また おとしましたよ』からの曲を中心にした構成で、会場全体の空気を震わせるような存在感のあるヴォーカルを聴かせてくれた。最後に演奏したイルリメのカヴァー“たちんば”での、着地点が特定できないアンバランスさが、彼女のキャラクターとシンクロしていたように感じた。続いては、moolsの出演。メンバー3人のテンションがそのまま音になって表現されている、つんのめる疾走感が痛快なロック・バンド。それでありながらも、暴走を抑える知性を所々に見せ、均整の取れた演奏を披露。やはり彼らはライヴがいい!


そしていよいよ、この日のメインとなるフォーク・インプロージョンが登場。ルー・バーロウ本人がセッティングの段階から登場し、いい具合にゆる~いムードが場に充満していく。が、2曲を弾き語りで演奏した後、残り2人のメンバーが登場すると、それまでの弛緩した雰囲気が一変した。しょっぱなからこれでもかというくらいヒリヒリしたバンド・サウンドで聴衆を引っ張っていく。新メンバーが加わったことで、前作までのどこか内省的で脱力感を感じさせるサウンドはすっかり影をひそめ、シンプルでマッチョな力強さを感じさせるバンドへと変貌していたのだ。まさに新作タイトルどおりの〈新生フォーク・インプロージョン〉を体現する音だった。アンコールを含んだ全23曲を、テンションをキープしたままで演奏(ルー・バーロウが、ギターのイマード・ワシフを肩車しながら演奏するという場面も)。非常に濃厚な時間を味わうことができた。

このツアーを見た多くのファンが、ルー・バーロウに抱いていたであろう〈宅録メガネ君〉というイメージを払拭させられたのではないだろうか。数多くの内省的サウンドを経て、ダイナソーJr.時代に近い開放感を、よりリラックスした形で届けるという彼の試みに、原点回帰の一言では片付けられない説得力を感じることができた。

・6月14日 フォーク・インプロージョン来日ツアー最終日@渋谷nest

M1 不明
M2 One Part Lullaby
M3 Insinuation
M4 Fuse
M5 End Of Henley
M6 Brand Of Skin
M7 Releast
M8 Burning Paper
M9 Merry-Go-Down
M10 I Like You
M11 Someone You Love
M12 Creature Of Salt

アンコール1
M13 Willing To Wait
M14 Pearl
M15 Easy
M16 I Think I Love You
M17 Brand New Love
M18 新曲(タイトル未定)

アンコール2
M19 不明
M20 不明
M21 Love Is Stronger
M22 No Need To Worry
M23 ルー・バーロウが、子どもの時に初めて作った曲(タイトル不明)