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第9回 ─ MUSIC FOR FEAKS JAPAN TOUR 2003 @SPACE LAB YELLOW 2003年7月11日(金) DJs:LUKE SOLOMON,KENJI TAKIMI

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2003/07/16   16:00
更新
2006/01/19   18:37
テキスト
文/原田 亮

ブレイズからマシュー・ハーバートまでの作品をリリースする英国の気鋭ハウス・レーベル〈classic〉。デリック・カーターと共にこのレーベルの舵をとり、自身のプロジェクト〈フリークス〉も巷の音楽狂の間で話題となっているルーク・ソロモンが初来日。ということでそのイベントの模様をレポート。

 当日はまずクルーエル・レコード主宰、瀧見憲司が登場。ダビー・ディスコ・ハウスからエレクトロ調パンクといった選曲で早くも大騒ぎの予感。ちなみにフリークス、この夏にクルーエルより作品集をリリース予定とのこと。で、瀧見氏のダブ・ディスコ攻勢に盛り上がったところに、ルーク・ソロモンの出番。ルーク・ソロモンはイギリス生れながらシカゴ・ハウスの正当(?)な継承者の一人、アシッド・サウンド黎明期のチープさとアヤウサ(=情緒不安定感)をバッチリ身に付けた男なのです。その片鱗はフリークスの近作『The Man Who Lived Underground 』で是非チェックを。というわけで、さぞ奇特な方が登場するかと期待していると・・。


ルーク・ソロモン


踊り狂う、日本人フリークスたち

 ご覧ください、アンドレ・ザ・ジャイアントを細身にしたような彼の面構え。目ヂカラ強く、気合いが入っております。当日は4時間近くにわたるロング・セットにもかかわらず、開始当初から音圧全開のパンピンなシカゴ直系ハウスでぐいぐい踊らせる踊らせる。以前、デリック・カーターと連名で発表した2枚組DJ MIX盤『Thanks for Coming By....』では、アッパー&跳ねまくり仕様なデリック・カーターの選曲に対して、渋めのディープ・ハウスをまったり聴かせてくれた彼ですが、本日は初来日ということもあって全力投球。ベース馬力がダンス・フロアをガンガン汗臭くしてくれます(当日はなぜか、というかやっぱり男子多め)。
 
 80'sテイストのキッチュなフリークス作品に惹かれて来た方々は、期待を裏切られた感のある当初の〈ごん太〉4つ打ちビート攻勢でしたが、中盤以降はその変態性もしばしば露出。絶妙のタイミングでマイケル・ジャクソン“Jam”や“Billy Jean”、ジェームス・ブラウン“Soul Power”ネタを盛り込んだと思えば、ドナルド・フェイゲン『NIGHTFLY』なんて美AORレコードまで持ち出す始末。ジョークか本気かわからぬまま、ドナルドの甘酸っぱいヴォーカルにアシッド変態サウンドが被さり煙に巻かれて……このミスマッチがまた快感!! ダンス・フロアはこの〈ドナルド攻め〉あたりで絶叫者続出。終盤にはフリークスの変態ヴォーカル・エレクトロ音源や、ニューウェイヴ・ファンクなども飛び出して、隣りの刺青のお兄さまは上半身裸でルージング・コントロール状態、その横のカップルは抱き合ってイイ雰囲気、というカオスな盛り上がり方をしていました。

 なんだか一貫して異常なテンションでしたが、5~6年前に爆発したシカゴ・ハウス・リヴァイバルの芽は、この狂った英国人によって確実に進化(変態化)しちゃった。ということだと思いましたよ。

▼ ルーク・ソロモン(akaフリークス)、その血脈をあらわす関連盤をご紹介