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第13回 ─ ELEMENTS OF LIFE BY LOUIE VEGA@BLUE NOTE TOKYO2003年7月20日(日)

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2003/07/31   14:00
更新
2006/01/19   18:37
テキスト
文/原田 亮

今回はハウス界の大重鎮マスターズ・アット・ワークの伊達男、ルイ・ヴェガの来日公演の模様をお届け。ルーツ音楽の彩り溢れるソロ作品『Elements Of Life』がラテン音楽ファンの間でも大評判をよんでいる彼が、ブルーノート東京で見せたライヴやいかに?

 それにしても、ルイ・ヴェガ兄貴はいつもニクい。ニューヨリカン・ソウルとしてソウルやラテンの旨味を詰め込んだクロスオーヴァー大傑作『Nuyorican Soul』を発表した時にしても、今回の初ソロ・アルバム『Elements Of Life』にしても、ハウス界最強のDJ/プロデューサー・コンビ〈MAW=マスターズ・アット・ワーク〉の一翼を担いながら、そのポジションに甘んじずに新しい可能性を常に模索している。そして今宵、10人編成のエレメンツ・オブ・ライフ・バンドを率いてブルーノートでライヴを披露するっていうのだから、やることが粋だ。


ラウル・ミドン

  オープニング。まずは、トレード・マークの白いテンガロン・ハットを被った御大ルイ・ヴェガがさっそうと登場。彼が軽くDJプレイをはじめると、それにあわせ、ドラムス、ベース、エレクトリック・ピアノといった面々がジャム・セッションに突入していく。バンド全体を貫くグルーヴがとにかく力強く、その強烈なシンコペイションは盤面に刻みきれなかったであろう生命力。これを体感するだけでも、ルイがクラブを飛び出してブルーノートの舞台に立った意味が伝わってくる。
 
 ダンサブルな前半は、ギター/ヴォーカルのラウル・ミドンの多芸ぶりが光った。ルイが〈スティーヴィー・ワンダーとジョージ・ベンソンとホセ・フェリシアーノの奇跡的ミクスチュア〉と称賛するこの男、クラブ・ヒット曲“Brand New Day”や“Cerca De Mi”をアルト・ヴォイスでスピリチュアルに唄いあげ、まさにジョージ・ベンソンばりのスキャットとのユニゾンで素晴らしいギター・ソロ(グルーヴィー!)も披露。特筆すべきは彼のお家芸のひとつ、口真似トランペット演奏で、そのリアルさは観客が突然の管楽器の登場に驚きステージを見回すほど。この人、間違いなく天才です。


アナーネィ

 後半にはルイの奥さんアナーネィもヴォーカルとして登場し、ラヴリー・モードに突入。ルイ夫婦のジュニアに捧げた“Ma Mi Mama”や、モンド風の色気漂う“Mon Amour”などを唄いあげた。で、御主人ルイは何をやっていたかというと……これが見事なまでに、何もしていません(笑)。終始ニコニコ踊りながら、時々メンバーに指示をだしたり、SE(効果音)をミックスしたり。ただ、その余裕のある控え目ぶりには、バンドのパフォーマンスを最大限に引き上げて聴衆に届けよう、というプロデューサーとしての気品が感じられたりも。終局、バンドが個別にフォーカスできないほどの一体感に達したところで、高気圧なサルサ・ナンバー“Quimbombo”を演奏。ルイの掛け声を合図に皆、席から立ち踊り出す! こうなるとブルーノートも完全にダンス・フロアー化。複雑なシンコペイションは最後まで止まらなかった。

 〈ラテン・ミュージック〉というにはあまりにも多国籍で、〈オリエンタル〉と呼んでしまうのには違和感を覚えるほど、ルーツ音楽の自然な折衷が見られたエレメンツ・オブ・ライフ・バンド。サルサ、アフロ・ビート、カリプソ、サンバ etc...すべては先人が残してくれた最高の〈ダンス・ミュージック〉だということ。今宵のエロチックでちょっぴり切ない、太陽が似合う名曲たちがそんなシンプルな真実を物語っていた。やっぱり、このお方は最高にニクいです。


・ELEMENTS OF LIFE BY LOUIE VEGA@BLUE NOTE TOKYO セット・リスト
M1 - Jungle Fever
M2 - Mozalounge
M3 - Brand New Day
M4 - R & B Intro
M5 - Cerca De Mi
M6 - Africa/Brazil
M7 - Nos Vida
M8 - A Better Day
M9 - Mon Amour
M10 - Ma Mi Mama
M11 - Summer Night In Spanish Harlem
M12 - Quimbombo

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