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第19回 ─ VINTAGE 2003 @ 渋谷AX 2003年8月23日(土)

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2003/09/04   20:00
更新
2006/01/19   18:37
テキスト
文/ヤング係長

インドアでの大型イベント、VINTAGE 2003。8月22、23日の2日間に渡って
渋谷AXで行われたこのイベントの初日に足を運んだ。出演者はLOST IN TIME、クラムボン、CELLOPHANE、Nathalie Wise、BONNIE PINK、スピッツの6組。


LOST IN TIME:左から海北大輔、大岡源一郎、榎本聖貴

トップバッターCELLOPHANEに続いて2番手で登場したLOST IN TIMEは、若さからくる無常と焦燥を疾走感に変換したかのようなシャープな演奏を見せてくれた。ベース&ヴォーカルを担当する海北大輔の、感情をキープしながらもどこか憂いを帯びた歌声と、広いレンジで印象的なフレーズを紡ぎだすギターのコントラストは見事。“線路の上”曲中のブレイク部分では3人の息もバッチリで、バンドの結束力も伺うことができた。〈若さ〉も間違いなく彼らの魅力のひとつではあるのだが、それだけには終わらない奥行きを感じさせるステージに、今後の彼らに対する期待を抱かせられた。

現在、前作同様山梨県の小淵沢にあるスタジオにこもりっきりで新作をレコーディング中だというクラムボンは、個人的にこの日のベスト・アクト。3人だけのミニマムな編成で望んだために、各パートの輪郭がくっきりと浮き彫りになり、クラムボンの演奏力の高さを再確認することができた(ミト氏の姿にうっすらジャコ・パストリアスの影が重なって見えたのは私だけでしょうか?)。Nathalie Wiseで出演後のビッケが参加した“Re-トレモロ”の次は、シンプルなギター・ループが印象的な新曲を披露。そぎ落とされた音の隙間を生かした音響的アプローチに、3人で演奏することにあらためて立ち返ったような彼らの姿が見えた。10月26日に開催されるイベント、intoxicate #08の出演も決定している彼ら。そちらでも新曲を聴くことができるかも!?

そして大トリ、スピッツのセッティング時間になると、このときばかりと観客が前に押し寄せ、フロアの密度はピークに。そんな熱気立ち込める中、彼らはいつもどおりのクールさを保ちつつ安定した演奏で“涙がキラリ☆”、“ロビンソン”といったキラー・チューンから、ライヴでは久々という“虹を超えて”までを堂々と演奏してくれた。バリエーションの豊富さと、堂に入ったステージングはさすがとしか言い様がないほど。時間が押したために、スピッツのアンコールができないというトラブルはあったものの、これだけ質の高いバンドを一堂に集め、チケット料金も良心的だったVINTAGE 2003。来年も開催する予定があるとのことなので、ぜひまた来てみたいという思いに駆られた。

▼LOST IN TIMEディスコグラフィー(@TOWER.JPで各作品収録曲が試聴できます)