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第27回 ─ THEE MICHELLE GUN ELEPHANT LAST HEAVEN TOUR 2003@幕張メッセ 2003年10月11日(土)

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2003/10/17   18:00
更新
2006/01/19   18:37
テキスト
文/駒井憲嗣

日本のロックの歴史を塗り替え続けてきた4人組は10月11日、遂に最後のステージに立った。4万人近いオーディエンスはそこに何を見たのか? 知る由もない。それぞれの終わりと始まりが巨大な会場に交差した瞬間、チバユウスケはこう言った。THANK YOU ROCKERS!

〈ドクター・フィールグッドやインメイツがこんなに売れたはずはない。〉(Barf Out! 98年12月号)

 アルバム『GEAR BLUES』の際に小西康陽氏が彼らに寄せた賞賛の言葉を借りるまでもなく、パブロックやガレージといった形容を超えて、オルタネイティヴな色合いを加えながら続いたミッシェルの軌跡は、けものみちのようなものだったのかもしれない。会場を縦にぶち抜いた巨大な幕張の場内、ドアーズの“THE END”が突然フェードアウトして、“ゴッド・ファーザー~愛のテーマ”が流れ出した瞬間。そしてオープニングの、映画『青い春』でも印象的に使われた“ドロップ”の〈舐め尽した ドロップの気持ち〉というセンチメントには、ストーリーのエンディングを実感させるものだった。しかしそれ以上にミッシェルは、彼らのありようを凝縮したようにスケールが大きく、あくまでクールだった。

  この夜のセットからは、活動を俯瞰するベストの選曲であると同時に、〈LAST HEAVEN TOUR〉のなかのひとつのバリエーションであるという潔さも感じられた(……なにより、最後のライブというには彼らは代表曲が多すぎるじゃないか)。新旧の曲を織りまぜながら、前半と後半の矢継ぎ早の展開に挟み込まれるように演奏されたラスト・シングル “エレクトリック・サーカス”を軸に、深く潜り込むような中盤の構成。唯一両サイドの巨大なスクリーンを使わずに演奏されたその“エレクトリック・サーカス”は、いままで、自らの曲のなかでバンドの置かれている状況についてあえて明言を避けてきた彼らが、活動の幕引きを連想させるかのような情景を描くナンバーとして、ことさらバンドの強い意志が感じられた。

 そしてアンコールで披露された、ここ数年の彼らの変化を象徴するようなレゲエ・ヴァージョンの“リボルバー・ジャンキーズ”から、初期の破天荒さを象徴する“ジェニー”への流れというのも、彼らがシンプルなリズム・アンド・ブルースの伝統芸能にこもらず、内省の旅にも逃げない、絶妙なスタンスで立ち振る舞っていたことを証明していた。

 2回目のアンコール “世界の終わり”で、アベはギターの弦を切りながら演奏し、喉を振り絞るようにがなり続けた汗だくのチバはアウトロの途中でステージを後にした。もっとドラマティックな大団円を期待していた方には肩透かしだったのかもしれないが、そんなあっけなさもミッシェルらしい。終演後のスクリーンに映された燃え上がるバイクにさえ、すがすがしいカタルシスがあった。

・SET LIST
01.ドロップ
02.ゲット・アップ・ルーシー
03.バードメン
04.デッド・スター・エンド
05.ストロベリー・ガーデン
06.アッシュ
07.フリー・デビル・ジャム
08.デッドマンズ・ギャラクシー・デイズ
09.I was walkin' & Sleepin'
10.ブラック・タンバリン
11.深く潜れ
12.カルチャー
13.ブギー
14.赤毛のケリー
15.ゴッド・ジャズ・タイム
16.エレクトリック・サーカス
17.ミッドナイト・クラクション・ベイビー
18.ベイビー・スターダスト
19.スモーキン・ビリー
20.リリィ

en01

21.GT400
22.リボルバー・ジャンキーズ
23.ジェニー

en02

24.世界の終わり

▼ミッシェルのラストツアーを凝縮した2作品は12月3日リリース!