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第30回 ─ Buffalo Daughter@新宿リキッドルーム 2003年11月8日(土)

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2003/11/13   18:00
更新
2006/01/19   18:37
テキスト
文/ヤング係長

デビュー以来確実に前進しながら、彼らにしか作れない傑作アルバム『Pshychic』をドロップしたBuffalo Daughterの、〈Pshychic ツアー〉。bounce.com編集部が足を運んできました!

  会場に着くと、既にシュガー吉永とDMBQの吉村由加の2人によるドラム&ギターユニット、METALCHICKSが前座として出演していた。吉村の、単一フレーズを機械のように繰り返すハンマー・ビートと、バンド名どおりのメタルな強烈ディストーションを通したシュガーの8弦ギター(に見えたけど、そんなものあるのかな?)。そこにハードディスク・レコーダーのリズム・フレーズを加わる。非常にシンプルな構成ながら、それがゆえにトランシーな効果を生みだす要因になっていたように思う。女性2人なのに、やたらと男臭さが漂っているバンドだった。


ムーグ山本 (C) YUKI KUROYANAGI

  続いて本編、Buffalo Daughterの登場。メンバー3人にサポートのドラムを加え、まずは『Pshychic』収録の“Pshychic A-GO-GO”からスタート。それぞれのメンバーがシンプルなフレーズのリフレインを演奏し、それが重なって生まれるグルーヴ。ミニマルな要素から繰り出されるそのグルーヴの隙間から、シュガーと大野、ムーグの3人のヴォーカルがバトンを渡し合うように響いてくる。おそらく、あの日会場にいた観客の多くは、この1曲目を聴いた時には、このライヴに対しての手ごたえのようなものをつかんでいたのではないだろうか。相変わらず〈熱さ〉は表からは見えづらいのだが、構成のうまさやコンビネーションの妙に、バンドが持つ結束力が表現されていた。続いて、ESG“Standing In Line”のカヴァーを挿み、『Pshychic』に収録されている全曲を演奏してれた。

  この日印象に残ったのは、メンバーそれぞれが持っていた余裕だ。『Pshychic』の全曲をライヴで再現してみせるということも、ターンテーブルの音が出ないというアクシデントすら笑いに転化してみせるということも、バンドの状態の良さと余裕がなければ到底できることではないはずだ。これまでの彼らの活動の集大成、“303 LIVE”では、その余裕がすでに貫禄という粋に達していたように感じた。常にフレッシュな作品を届けてくれるので気付かれにくいのだが、Buffalo Daughterは今年で結成10年目だそう。今回のツアーは、彼らにとってひとつの区切りとしてカウントされるようなものだったのではないだろうか。

Buffalo Daughter@新宿リキッドルーム 2003年11月8日
1. Pshychic A-GO-GO
2. STANDING IN LINE
3. CHIHUAHUA PUNK
4. Dr.MOOOOOOG
5. BRUSH YOUR TEETH
6. I
7. A.C.I.D.
8. S.O.I.D.
9. Discoteque du Paradis
10. Cyclic

アンコール
1. 303LIVE
2. VIVA LA NOW WAVE