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第33回 ─ キリンジ ツアー2003@武道館 11月16日(日)

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2003/11/27   16:00
更新
2006/01/19   18:37
テキスト
文/内田 暁男

2時間30分たっぷりとキリンジと共に過ごす。その場所が武道館だっていうんだから、喜びもひとしおです。そう、音楽に愛されている二人の姿はまたしても輝いていて!!


キリンジのお二人。左から堀込泰行、堀込高樹

 ステージには宮殿の窓っぽいセットの前にドデカイ2体のキリンジ兄弟銅像が見える。それは武道館に集った僕達が高貴な高貴なポップス・フリークであることを証明するようにそびえ建つ。あなたたちは目が高いってね。

 派手なアクションも演出もなく、言ってみればサエない(失礼)男子兄弟二人がただ立って楽器を演奏して歌っているだけなのに、これだけの大人数を集める。それを音楽の力と言わずしてなんと言ったらいいのか教えてほしい。

  ライヴはインディーズでの初作品“風を撃て”でスタート、そのままなだれこんだ『3』収録の“グッデイ・グッバイ”あたりは意外に(失礼)大バコ感バッチリ。って驚いてたら、“愛のCoda”“繁華街”と披露された最新アルバム『For Beautiful Human Life』収録曲も非常に繊細なメロディー&アレンジを持つにも関わらずワイドな解放感を同時に感じさせる。キリンジってグングン良くなってますよ絶対。堀込泰行のヴォーカルも前半数曲では高音が若干不安定だったものの、パーカッシヴなドラムを中心にドス黒くトグロを巻くキリンジ流アフロ~ブラジリアン・ナンバー“嫉妬”ぐらいからグングン良くなってきて。もともとが奇跡の美声だけに堂に入れば怖いモンなしなわけです。兄の高樹があきらかに緊張しながら歌詞飛ばしながら歌った毒舌ソング“ハピネス”を挟んで、ファンの間では一番人気(?)である『3』収録の哀切名バラード“エイリアンズ”が武道館に響いたときの切なくもあったかいなんともいえん空気!  そして僕がいちばん最初にキリンジにぶっとばされた “ニュータウン”(ファースト『ペーパードライヴァーズミュージック』収録)を経て、“僕の心のありったけ”“スウィートソウル”と最新アルバム収録曲が続けて演奏される箇所は、2曲に共通するポジティヴな祝祭感をいやがおうにも高め、7人編成のバンドによる華美で屈強なアレンジはそれを大きな舞台で見事にプレゼンしていた。ブラジルを経由してフュージョン~プログレチックなダイナミック・ナンバー“the echo”で本編の幕を閉じたころには2時間を優に越えておりました。全然気付きませんでした。

  客電も明るく照らすなか披露されたアンコール一発目“銀砂子のピンボール”(セカンド『47' 45''』収録)でのハンド・クラップの数も武道館だけにスゴイわけだが、弾むようなアメリカン・カントリー・ポップスの楽曲だけにそれがモロにハマってるっていう。ていうか大バコじゃなきゃわからなかったことだらけな感じで嬉しいですねホント。そして兄弟二人だけで“カウガール”をしっとりと弾き語って大団円。もう満腹です。

 結論。キリンジの楽曲は大体において大バコ向き。本当の意味で音楽だけでここまできたキリンジの二人と、それをちゃんと愛した満場のオーディエンスの皆に幸あれ!

KIRINJI TOUR 2003
1. 風を撃て
2. グッデイ・グッバイ
3. カメレオンガール
4. 雨を見くびるな
5. 愛のCoda
6. 繁華街
7. 嫉妬
8. 地を這う者に翼はいらぬ
9. ハピネス
10. エイリアンズ
11. まぶしがりや
12. 来たるべき旅立ちを前に
13. ニュータウン
14. 僕の心のありったけ
15. スウィートソウル
16. アルカディア
17. ブルー・ゾンビ
18. 奴のシャツ
19. ムラサキ☆サンセット
20. the echo

EN
1. 銀砂子のピンボール
2. あの世で罰を受けるほど
3. 耳をうずめて
4. カウガール