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第38回 ─ YEBISU04 NEW YEAR'S PARTY@恵比寿ガーデンホール/ルーム 2003年12月31日(水)

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2004/01/15   18:00
更新
2006/01/19   18:37
テキスト
文/beat ek

毎年恒例となっている恵比寿ガーデンホール/ルームでの年越しイベントが〈YEBISU04 NEW YEAR'S PARTY〉と題して今年も開催。国内外から招かれた錚々たる顔触れのライヴアクト、DJ陣による豪華なカウントダウン・パーティの模様を〈ガーデンホール〉と〈ガーデンルーム〉の2つの会場からレポート。

 会場はライヴ中心の大バコ〈ガーデンホール〉とDJオンリーの中バコ〈ガーデンルーム〉の2フロア制。それだけに、オープンと同時に会場になだれ込んだたくさんの人々も、ひとまずはロビーのあちこちに貼られたタイムテーブルを前に各々のフロア移動計画を思案。どっちで踊るか? 紅白の裏側で繰り広げられるフロアロック合戦にいやはや贅沢であるなあなどと感嘆していると、〈ホール〉ではトップバッターDubsensemaniaのライヴがスタート。


ガーデンホール・フロア
  国産レゲエ/ダブバンドの急先鋒として目下注目を集めつつあるDubsensemaniaは、噂にたがわぬコンシャスな演奏を披露。オーガスタス・パブロ直系のメロディカやカールトン&ザ・シューズを彷佛とさせるハーモニーがパーティ序盤のフロアを心地よく温める一方で、鋭いダブミックスに奇声をあげて喜ぶダンスクレイジーもあちらこちらで見受けられた。

  Jazzy Sportが落ち着いたトーンのヒップホップをプレイして場を繋ぎ、続いて登場したのは御存知〈King Of Stage〉ことRhymester。宇多丸、Mummy-Dの2MCがのっけからフロアを煽りまくり、場内の熱気は一気に加速。新旧クラシック“B-BOYイズム”、“ザ・グレート・アマチュアリズム”の連打でフロアは早くも最高潮の盛り上がりに達し、締めは2月発売予定の待望のニューアルバム『グレイゾーン』からの先行シングル“Welcome 2 My Room”。まだまだ早い時間ながらがっちりフロアをロック。さすがの貫禄でございます。

  気づいてみれば既に満員の場内からの大歓声を受けて次に登場したのはPE'Z。セカンド・アルバム『極月 -KIWAMARI ZUKI-』収録のストーンズカヴァー“She's A Rainbow”などでゆったりとスタート……かと思いきやフロアは早くも大ダンス大会。中盤“螢の光”を演奏してクールダウンさせつつも、その後はお馴染みの曲をたたみかけて再度フロアを熱狂の渦に叩き込む。その構成の妙味に、ライヴバンドとしての経験の深さを感じさせた。

  そんなクラブ・ジャズ新世代の後を受けたのはシーン黎明期からの重鎮、UFO。年越しまでの一時間をラテンテイストなハウス中心のプレイで盛り上げ、いよいよのカウントダウンで盟友、松浦俊夫にバトンタッチ。松浦氏はステージ上からTシャツを投げたり、シャンパンをふるまったりといったパフォーマンスで新年の気分を盛り上げ、「松浦さんと結婚したい!」というギャルの声まで飛び交う盛り上がり!


Ego-Wrappin'

  お祝いムードの中、昨年に引き続いての出演となったEgo-wrappin'のライヴが始まると、場内は人、人、人の満員電車状態。通常のライヴ編成+Ska Flamesとオーサカ=モノレールからのホ-ンセクションも招いた重厚な演奏の上で、ドレスに包んだ身を降り乱し、舞い踊りながら歌う中納良恵嬢の姿はどことなくビョークを彷佛とさせて、なんともコケティシュ。エゴのリスナー層の幅広さを反映しているのか、白髪の老紳士もステップを踏む中、約一時間のステージを一気に駆け抜けた。

エゴの狂騒に続いては、井上薫 a.k.a. Chari Chari、沖野修也らがアッパーなプレイを展開。最後に再度松浦俊夫がブースに立ち、ピースフルなラテン・トラックで大団円を迎えた。

ガーデンルーム・フロア

〈ルーム〉フロアでは、フランスのハウスクリエイター/DJ、ペペ・ブラドックらによるディープハウスが開演から一貫して鳴り響き、フロアに集ったハウス・フリークを心ゆくまで堪能させていた。


MURO

  このままハウスで年越しかと思いきや、突如和モノボッサ・サンバがカット・イン。いつの間にやら集結したB-BOY達も大騒ぎの中、ハッピーニューイヤー!という訳で、〈ルーム〉のカウントダウンを務めたのはキング・オブ・ディギン=Muro。新年の御挨拶の後は、“Tighten Up”からブレイケストラまでの新旧ブレイクビーツをヒップホップ・マナーでプレイ。時折挟み込まれる2枚使い&両脇を固める2MC'sによるフリースタイルには場内大歓声。Wack Wack Rhythm Band & Boo“Thanks For Music To Heaven”で沸き立つ中、追い撃ちをかけるようにプレイされた締めの一曲、アース・ウィンド&ファイアー“September”で、新春のお祭りムードも最高潮に達した。

  続いて登場したのは、4Heroでドラムンベースに革命を起こしたUKブラックの最重要人物、ディーゴ。主催するレーベル、2000Blackに代表されるようなソウルフルな歌ものブロークンビーツを中心とした選曲で派手さはないもののフロアをしっかりロック。「Happy New Year 2004!」の挨拶もニクい。

Jazz Brothersがハウスで、小林径がジャズテイストのブレイクビーツでこれに続き、夜も更けた3時過ぎ〈レコード番長〉須永辰緒が登場。ヴォーカルにakikoをフィーチャーして、氏がプロデュースしたアルバム『Mood Swings』から数曲を披露。その他もCKBなど和モノ中心の選曲で詰め掛けた婦女子を魅了した。

そしてRhymesterよりDJ Jinが再び登場。DJ Shadowばりにサイケロックをプレイしたかと思えばラストにはなぜかUR“Hi-Tech Jazz”と緩急をつけたプレイでフロアを煙に巻き、最後は〈ルーム〉フロアのトリ、Kaori Ichikawaが落ち着いたハウスセットで締めてくれた。

年末年始の〈なんでもアリ〉なお祭り感覚と、〈ジャズ〉をキーワードにした世界的なクロスオーバー・シーンを見据えた上で選ばれた、決して〈なんでもアリではない〉出演者陣。双方が両立し得た希有なバランス感覚&ミックス具合がとっても素晴らしい一夜だった。継続は力なり、てことでしょうかね。そういうわけで今年もまた!是非とも!

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