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第39回 ─ COUNT DOWN JAPAN FES03-04 2003年12月31日(水)@幕張メッセ

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2004/01/15   18:00
更新
2006/01/19   18:37
テキスト
文/長山鳥言成志

PRIDE、ダイナマイトにイノキボンバイエ。3大イベント同日開催という前代未聞の闘う年の瀬に沸いた2003年の大晦日。しかし〈格闘技? プロレス? ノンノン!〉なボーイズ&ガールズをロックするイベントはないものか……と検索検索、あーありました! そう、年越しと言えばやっぱり浅草ロック座のニューイヤーロックフェス! ではなく、日本初の大型カウントダウンフェスティバル、〈COUNT DOWN JAPAN FES03/04〉。会場の幕張メッセからweb内限定音楽評論?ユニット、足臭キッドのお2人と中継で繋がっております。幕張の足臭キッドさーん!

足達ミツル(以下足):というわけで来ましたよ幕張! 時には女とまぐわり!(by無戒秀徳)

臭野仁(以下臭):いやーデカイね! 幕張メッセ全面の場内はメインステージの〈EARTH1〉と〈GALAXY2〉を中心に、ホールにしたら1万人は収容可能なスペースをぶち抜いた巨大クローク、ずらりと並んだ仮設トイレに休憩スペースまで、とにかく広い!

足:なにもかもがモンターニャ&ジャイアント・シルバサイズってなわけです!どーですかお客さん! 今日はすでに3日間の最高動員を記録。開演1時間前の時点でDJサイトや飲食ブースはギブアップまで待てないお客さんで黒山の人だかりです!


くるり photo by aokinoko(以下同)

臭:さぁこれからステージでは果たしてどんな……ってわざとらしく生実況ぶるのヤメようよ。もう新日のドームはおろかWJの解散ど真ん中興行まで終わってるんだから。

足:驚いたね~ドラゴン社長の引退撤回に裕タン&健介の大ジュース大会! いや今年はいい年明けだったなぁ、ってすぐそっちに話が逸れるけどこっから先いったい誰が止めてくれるんだい?

臭:ま、いろいろあったのは幕張も同様、ってことで本題に戻すとまずEARTH1の一番 手はくるり。トリを務めた前日に引き続いての参戦だったわけだけど。


くるりの岸田繁

足:岸田くんが着物、クリストファーがタキシード、佐藤くんはアフロ(ヅラ)、達身だけごく普通のTシャツと、見てくれは完全なるフェスモード、というかほとんど学園祭?ってなノリなんだけど、この4人になってからの演奏のテンションはマジでちょっとヤバイ!

臭:“東京”とか、あらためて曲の凄さを再認識させられたなー。

足:いきなりしょっぱなで度肝を抜かれた感じがしましたね、アタクシは。岸田くんがずっと頭に描いていた音像がようやくライヴで再現できるようになってきたみたいで、以前の楽曲にも確実に違う息吹が吹き込まれてますな。で、続くエレカシはまったく予想外の展開に。


エレファントカシマシの宮本浩次

臭:たいていのバンドがフェス向けに代表曲みたいのを持ってきたり、もしくは最近のライヴそのままか、っていうどちらかできてたのを、演る曲演る曲知らない曲ばっかりで。

足:おそらくエレカシ目当てと思われる最前部のお客さんまで呆然としてたり。それだけに逆にその違和感みたいのが存在感を際立たせてもいたよね。

臭:ここで我々はGALAXY2に移動してART-SCHOOL、現メンバーでの最後のステージへ。2003年最後の日に最後のライヴなんて、〈LOVE/HATEツアー〉のリキッドが最後だと思ってたファンには最高のエクストラ・ショウだったんじゃないかな。


ART-SCHOOLの木下理樹

足:単独公演できっちり区切りもついてたはずなんだけど、始まってみれば感情の赴くまま、って感じでメンバーもオーディエンスもかなりエモ度上がってた。思わずアタクシもバトラーツ涙のラストマッチを思い出しました。

臭:(無視して)一音一音鳴らされるたんびに会場全体が同じ感情で満たされていくようで、すごく美しい光景だったよね。美しい、と言えばベクトルは全然違うけど、次のPolarisの演奏が始まると、虹色の照明とも相俟ってもうロックフェスの会場じゃないみたいなムードに包まれて。


Polaris

足:ただやっぱりダブ系のバンドはどうしてもこういうロック系のイベントだと音響面で割りを食っちゃうのかな? 開演ギリギリまでメンバー自らサウンドチェックしてたのがすごくいじらしかった。さっきまで試合に出てた斉藤が覆面外してリング整備してる闘龍門みたいなもんですな。

臭:(再度無視)不利な環境だったのは否めないけど、サポートのギターを入れて弦モノ中心の構成にしてたのは大正解だったんじゃないかな。


Polarisのオオヤユウスケ

足:そうこうしてるうちに2003年もあとちょっと! という時間になってて。こういう空間にいるとホント時間が経つのが全盛期のロードウォリアーズばりに早いです。

臭:インターバルはわりとたっぷり目にあるんだけど、EARTH1とGALAXY2を行き来する間にいろいろ気になるものがあるからね。

足:そうそう、夏フェスを思い出させる各国料理のブースにひたちなかからの出店、スウィーツにアルコールまで、フード類の充実振りにはホント感動した。あと移動の際にはインターネットブースで他会場の途中経過もくまなくチェック! 扱い慣れない最新型マックの操作にあたふたしているうちにもうスカパラ開演の時間だ! 巨大なEARTH1のフロアがぎっしり埋まった光景は圧巻! いや盛り上がってたね~。


東京スカパラダイスオーケストラ

臭:選曲といいMCといい、ホント持ってき方を心得てるねこの人たちは。“SHOT IN THE DARK”から“スキャラバン”までピーク時のテンションでトビ続けた、非の打ち所のないエンタテインメント・ショーでした。

足:カウントダウンの瞬間はもちろん、大所帯を束ねて大会場であれだけのマイク・パフォーマンスができる日本人レスラーは谷中さんと蝶野くらいでしょう。


A HAPPY NEW YEAR!!!!

臭:(無視しきれずに)いや谷中さんはレスラーじゃないから。でもホントいい年明けになったよ、うん。そうそう、年が変わった瞬間にステージの〈COUNTDOWN JAPAN 03/04〉の幕が〈ROCK AND ROLL 2004〉に変わったじゃない? そこで清志郎さん登場っていうのも最高だったよね。若いお客さんはどうなのかな?と思ってたんだけど客席の反応もすこぶるよかったね。


忌野清志郎

足:ステージでも〈キング〉と紹介されてたけどまさに日本ロック界のリヴィング・レジェンド、もうアントニオな存在だよね。“雨上がりの夜空に”は延髄斬り、“トランジスタ・ラジオ”は卍固め、“スローバラード”は魔性のチョークスリーパー、“キモちE”は弓を引くナックルパート、ってあてはめるとしっくりくるよね!で、アントニオドライバーは幻の技的な扱いだから……。

臭:いや全然伝わんないし正しくもないと思う。でも“キモチE”“上を向いて歩こう”まで最高のエンターテイメントで沸かせておいて、ラストにはシリアスなメッセージも含めつつ“Baby何もかも”って、無敵のロック・ショーって感じだったよね。

足:うんうん、無敵のビッグ・ショーだよね。

臭:(改めて無視、以下同)カウントダウンの余韻も徐々に凪いできて、2時を過ぎる頃には休憩ブースや飲食スペースでチルするお客さんの姿も目立ってきてたね。で、体勢を整えなおしたところで氣志團登場!


氣志團

足:さっきのスカパラ~清志郎が作った流れを再び揺り戻すような感じで、また盛り上がってました! 開演直前までへたりこんでたお客さんも、演奏が始まった途端、闘魂ビンタをもらったように息吹き返して踊り狂ってたし。そういや掴みのMCも〈こんな時間にバカヤロー!〉って、アントニオだったしね。いい例えだ、さっきに続いて俺って冴えてる!

臭:時間的にはちょっと物足りなかったけど、そのぶん逆に全力疾走で駆け抜けられたんじゃないかな。“スウィンギン・ニッポン”から“One Night Carnival”、ラストの“黒い太陽”までテンションあがりっぱなしだった。夏フェスで慣れてきてるのか、オーディエンスもフェスの心得を熟知していて、バーッと盛り上がるところは思いっきり盛り上がって、静かに観たいライヴはじっくり座って聴き入ってたり、それぞれの楽しみ方をしてたよね。


曽我部恵一

足:王道プロレスさながらのピースフルな雰囲気とでも言いましょうか? EARTH1、GALAXY2とも次が大トリのアーティストになるわけだけど。


曽我部恵一&木下理樹!

臭:曽我部くんは夏フェスでももはや朝の常連になってるけど、空が白んでくる時間帯にほんと映えるよね、曲も歌声も。2003年のツアー同様、ダブルオーテレサと、キーボードに高野(勲)くんを加えたセットで出だしからトバしてました。っていうかデキあがってた? ART-SCHOOLの木下(理樹)くんがいきなりギターで参加したり、バンド・アレンジの“White Tipi”だったり、〈不定形の美しさ〉みたいのがどこからも感じられるライヴだった。新曲の“スワン”とか“おとなになんかならないで”とかこの時間に聴くとほんと最高にグッとくるね。素晴らしい締め括りだったと思うよ。で、レミオはどうだったのよ?


レミオロメン

足:いや藤巻くんの顔見るとどうしても新日の柴田を思い出しちゃうんだけど、けっこうね、勝手な心配をしてたんですよ、広いEARTH1だし、この時間だし、ましてや氣志團の後でしょ? K-1の天田戦のような気持ちで観てたんだけど蓋を開けてみれば会場はいっぱいだし、じつに堂々たるステージングでさ。やっぱりちょっと緊張してたのか表情は硬いんだけど、一語一句、一音一音何かを確かめ合うような感じのすごくいい演奏だったし。1曲目が“追いかけっこ”だったせいもあって静かな雰囲気の出だしだったんだけど、次第にあったまってきて、“電話”“雨上がり”の頃にはもう、ちょっとこみ上げてくるものがあった。最後アンコールの新曲“3月9日”で再び静かに幕を下ろした、って感じなんだけどそこはもう祭りのあとの余韻を噛み締めるように。ライヴの締めとしてもフェス全体としても最高のフィナーレだったんじゃないかな。

臭:うーんようやく最後にちゃんとしたレポートを聞けた気がするよ。

足:でも本当に3大格闘技イベントに負けずに、恒例のイベントとしてこれからも続けていってほしいよね。

臭:出演者の方々、スタッフの皆さん、ほんとにどうもお疲れ様でした! 次回は夏のひたちなかでまた会いましょう!

足:それでは本年もオモプラッタ!

臭:↑ガッチリロックしよう!って意味らしいです、念のため。以上、ホントはさいたまスーパーアリーナに行きたかった足臭キッドがお届けしました。


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