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第41回 ─ SONICMANIA@幕張メッセ 1月31日、2月1日 2004年

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2004/02/12   16:00
更新
2006/01/19   18:37
テキスト
文/岡部昭彦、荒金良介

冬版〈サマーソニック〉としてロック・キッズの話題を独占していた大型屋内ロック・フェス、SONICMANIA。ランシド、コーン、エヴァネッセンスなど大物バンドがつぎつぎと来襲するとなれば当然です。さて、2日間に渡って開催された冬の祭典の現場はどんなことになってたんだ? 会場の幕張メッセへGO!!!

・1月31日(土)


15時15分~ INSOLENCE
  今回が2度目の来日となるインソレンスのステージは、間違いなく前半戦のハイライトといえるものであった。まずはメンバーいわく〈スピリチュアルな存在〉の男がなにやら叫び、ラスタのシンボルでもあるエチオピア国旗を振り回す。何事かとあっけにとられているオーディエンスをよそに、バンドは“1-2 1-2”でいきなりパンチを喰らわす。新ドラマー、ケヴィン・ヒグチのプレイも予想以上で、前回の来日とは比べものにならないくらいバンドの演奏が引き締まった印象がある。レゲエ色を強めた最新作『Stand Strong』からの楽曲も違和感なく組み込まれており、アグレッシヴなナンバー主体の構成にフロアは興奮のるつぼと化していく。でも殺伐とした空気は皆無で、以前彼らが「ヘヴィーになればなるほどポジティヴになんだよ」と言っていたように、ピースフルな空気のなかでみんなの気持ちはひとつとなった。


18時05分~ THE HIGH-LOWS
  洋楽アーティスト主体のフェスティバルでは、さすがのTHE HIGH-LOWSもやや浮き気味。が、百戦錬磨の彼らがそんなことでめげるはずはなく、ヒロトのブルース・ハープが印象的なオープニングの“ママミルク”からバンドは唯一無二の存在感を放っていた。それに、これといったMCもなく、次の曲目を言うだけで、次々に演奏する姿はストイックにすら映る。また、当日は初期の楽曲が多かったのだが、名曲“日曜日よりの使者”が聴けなかったのは残念。でも、“青春”ではみんな合唱していたし、後ろの方で見ていたちびっ子もかなりの勢いで踊りまくっていた。幅広い人気に感心すると同時に、ライヴ・バンドとしてのTHE HIGH-LOWSはいまもなお一線級であることを再認識させられた。


19時10分~ RANCID
  SONICMANIA初日はスタッズ率がハンパじゃなく、スパイキーヘアもちらほら。心やさしきパンクスの目当ては間違いなくランシドで、巨大なフロアは後ろまでぴっしり。もはやベテランの域に達しつつある彼らだが、出世作『And Out Come The Wolves』からのナンバー主体で臨んだ当日のパフォーマンスを見る限り、パンク・スピリットは少しも萎えてなかった。最新アルバム『Indestructible』のタイトル通りに〈不滅〉なのである。頭を逆立てたラーズの叫びはただならぬ迫力を感じたし、お洒落なハットを被ったティムがギターを抱えたまま軽快に回る姿は彼らがリスペクトするクラッシュを彷佛とさせるものがあった。そして、ティムの「いい時間を過ごさせてもらったよ。ありがとう」から始まったヒット曲“Time Bomb”は大盛り上がりとなったが、終わってもアンコールの声が鳴り止まず。再びステージに現れた彼らは、NOFXとのスプリットでもカヴァーされた“Radio”で有終の美を飾った。

・2月1日(日)


16時10分~ PLEYMO
  一昨年の〈サマーソニック〉ではカラフルなツナギに身を包み、アイドル的な人気も高かったのだが、数々のツアーで得た経験で彼らは格段に成長を遂げた。とくに1曲目の“OCK”から3曲目“L'INSOLENT”に至るまでの爆発力/破壊力はすさまじいものがあり「サマーソニック来た人はいますか? そのときと同じくらいロックしましょう」という日本語MCの後の“K-RA”にも同様のことが言える。それでいてマッチョなところはまったくなく、ロックとはかけ離れたお洒落なベストを着用しているメンバーもいる。ただ、日本ではフィギュアが売られているくらい人気を博しているにもかかわらず、世界的な知名度はいまひとつ。でも、最後の“DIVINE EXCUSE”から感じたほとばしる情熱は、バンドの明るい未来を予感させるものであった。


19時10分~ EVANESCENCE
  今回の出演者のなかでも、やはりエヴァネッセンスは異彩を放っていた。次のコーン目当ての客が前に詰めかけていたために一時はどうなることかと思いきや、反応は上々だったようだ。もっとも来日公演の初日でエイミーの歌が上手くなっているのは歴然としていただけでなく、新加入のテリーとの呼吸もぴったりということで、ベン脱退の痛手は微塵も感じられなかった。今回もミステリアスな“Haunted”で始まり、“Going Under”に続くという流れで、場内はヘヴィーでダークな世界一色に染まっていく。大ヒット作『Fallen』の楽曲が次々に演奏されていき、後半にはスマッシング・パンプキンズ“Zero”のカヴァーにも挑む。とくにピアノ弾き語りで臨んだ“My Immortal”での汚れなき歌には心を大きく揺さぶられた。なによりも、歌っている時の表情が実に豊かなのがいい。やがて弾き語りのまま“Bring Me To Life”が始まり、そこにバンド・サウンドが加わると当時に場内のヴォルテージは頂点に達する。その後、数曲を挟んで“Whisper”でジ・エンド。荘厳な空気が漂うなか、深々とおじぎをするエイミーの姿がいまも忘れられない。


20時25分~ KORN
  ラウド界の不完全種バンド、コーンの最新作『Take A Look In The Mirror』は、ファースト時の初歩原理に立ち返り、野獣覚醒の牙を突きつけた傑作だった。約5年ぶりの来日、再び戦闘モードに突入したその瞬間を見届けたい、と思う人は大勢いたに違いない。1曲目“Right Now”から観客の興奮は頂点へと駆け上がる。とてつもない重低音の振動が体に伝わり、彼らを眼前にした実感が沸き起こる。MCもなく、次々と繰り広げられる漆黒の世界はさすがとしか言いようがない。最新作からは4曲のみに止まり、“Blind”や“A.D.I.D.A.S.”などの代表曲を挟み、本編最後の“Kill You”ではジョナサンの押し殺すような叫びが会場に響き渡った。アンコール2曲、ラストは紙吹雪が舞い、ジョナサンは笑顔で観客に応えた。やはり、貫禄の凄みがある。だが、さらに欲を言えば、煮えたぎる感情の底辺まで触れたかったという思いも残るライヴだった。(この項のみ荒金良介)

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