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第42回 ─ MUSE @ TOKYO BAY NK HALL 2004年2月7日(土)

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2004/02/19   17:00
更新
2006/01/19   18:37
テキスト
文/ヤング係長

ド派手な演出が売り物のミューズ。この日もヴォーカル、マシューのテンションは上がりっぱなしで会場もそれにつられるようにヒート・アップしていた。2月7日NKホールでのライヴをレポート。

20分押しでメンバーが登場、ドラムの「ドンッ、ドンッ」という出音に合わせ、天井に向けられた巨大な照明が点滅している。1曲目から「うわー、やっぱ派手だな~」と苦笑しつつ見ていると、ものものしいピアノのフレーズが重なり、最新アルバム『ABSOLUTION』収録の“Apocalypse Please”で幕が開けた。マシューが操る鍵盤は、これまた派手な電飾が施され、彼のタッチに合わせて青赤緑と縦横無尽に点灯している。場内には早くも脳内でドーパミンが出かかっている観客の姿もちらほら見受けられる。

  『ABSOLUTION』からの選曲が多いのだが、安定した演奏は過去の楽曲と比較しても遜色がない。イントロからベースの重圧グルーヴがのしかかる“Hysteria”ではヴォーカルを引っ張るようなベースとドラムのバランスの妙を見せつつ、一転して鍵盤主体の“Endlessly”ではピアノの音を受け、抑えたプレイを見せてくれる。鍵盤とギターを楽曲によって使い分け、ギターを持ったときにはステージ上を所狭しと駆け回りつつスライディングなどのアクションを見せながらカッティングするマシュー。彼のヴォーカルも、いつスタミナ切れするか?と思わせつつも安定したファルセットを響かせる。


マシュー・ベラミー(ヴォーカル、ギター、キーボード)

  中盤からは、ステージのバックにパネル・スクリーンが登場。そこには、アルバム・ジャケットに映る鳥人間(?)の影や、空撮の風景画像、マシューのピアノの指使いのアップなど、楽曲にあわせた映像が映りこみ、会場の空気を盛り上げていく。中でも、特に目を奪われたのが、3人の音に合わせて演奏するオーケストラの姿だ。『ABUSOLUTION』でのライヴで、筆者が最も気になっていたオーケストラ・パートの再現を、サーモグラフでのオーケストラ映像を使うことで、臨場感以上の高揚を煽られた気がした。

  この、とにかくド派手で装飾過多なセットと、マシューの所々で決めまくるアクションは、見る人が見れば興ざめしてしまうものなのかもしれない。だが、筆者含め会場にいた多くの観客たちは、ミューズの姿に素直に見とれてしまっていたように思う。やはり、あらゆる面で〈過剰〉な演出を支えているのが、確実な演奏力であるからに他ならないのだろう。〈わかったうえ〉での演出がアーティストをトリック・スターたらしめるというこの構造は、様式的な大仰メタルに行きかけてギリギリのラインで踏みとどまり、トリッキーな楽曲を次々に披露してくれる彼らの音楽性にも表れている。彼らにとってのヴィジュアル要素は、3ピースという最小構成から繰り出されるアンサンブルのうちの一つなのではないか?なんてことまで考えさせられたライヴだった。


MUSE LIVE @ TOKYO BAY NK HALL
1.Apocalypse Please
2.Hysteria
3.New Born
4.Sing For Absolution
5.Citizen Erased
6.Space Dementia
7.Endlessly
8.Sunburn(Piano)
9.Butterflies And Hurricanes
10.The She Small Print
11.Forced In
12.Muscle Museum
13.Bliss(SHORT VERSION)
14.Time Is Running Out
15.Plug In Baby

Encore
16.Blackout
17.Stockholm Syndrome