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第43回 ─ 日暮愛葉 “Born Beautiful”TOUR@渋谷クラブクアトロ 2004年2月18日(水)

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2004/03/04   16:00
更新
2006/01/19   18:37
テキスト
文/内田 暁男

SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER活動休止後、初のソロ・アルバム『Born Beautiful』をリリースした日暮愛葉。バック・バンドにdownyを従え、圧倒的なライヴ・パフォーマーとして渋谷クラブクアトロに帰ってきた彼女の姿は、まさしくカリスマティックな魅力に溢れていた!! 

  黒のドレス風ワンピースに身を包んだ日暮愛葉の一挙手一投足はどれも美しくて目が離せなかった。楽曲/演奏のなかに身を投じたときの集中力や退廃的で凶暴で優しくて艶かしいオーラは、日本のロック・シーンを見渡しても突出した存在感を示す。バック・バンドであるdownyとの信頼関係のなか生み出されるそんな心地よい緊張感は、この日のオーディエンス全員を心酔させていたに違いない。というか、単純にこの人はパフォーマーとして破格です。

 “baby beautiful”“angel girl”といったポップでキラキラした世界観、それを切り裂くような“koibito”の鋭角的でオルタナティヴなギター。タバコを艶かしくくゆらせながら、日暮愛葉は序盤からオーディエンスを彼女の世界に引きずり込む。そして続くイスをセットしてのアコースティック・コーナーにおいてもその確かな表現力は揺らぐことがない。

   特筆したいのは、『Born Beautiful』収録曲はもちろんのこと、披露されたいくつかの新曲群がどれも素晴らしい出来だということ。とくに中盤に披露された“evergreen”という楽曲は、そのドラマティックなアレンジメントのストーリー性において、彼女のネクストがさらに刺激的であることを約束していたように思う。シンプルな路線はそのままにより精緻で振幅の激しい楽曲構築、シーガルにもつうじるようなささくれだったテイスト、そして表現力豊かなヴォーカリゼーション……『Born Beautiful』はほんの序章かもしれません。

  YUKIに提供した“the end of shite”やデビュー・シングル“NEW LIFE”といったキャッチーなナンバーで会場の温度を一気に上げ、 “cherry(桜の咲くころ)”での激しいシャウトとともに本編終了。そしてアンコールにおいてまたも未発表曲2曲をもってくるあたりに意欲的な姿勢を感じつつ、その2曲がもう普通にライヴのなかで違和感がないのも凄い。キャリアを重ねるごとにスリリングな進化をつづけ、唯一無比のパフォーマーとなっていく……日暮愛葉は女性ロッカーとしての新しいロールモデルを提示し続ける。

・日暮愛葉 Born Beautiful
01. S.S.S.
02. baby beautiful
03. angel girl
04. I'm your girl
05. koibito
06. Joy(未発表曲)
07. SIN
08. A rhythem like my heart beat
09. evergreen(未発表曲)
10. the end of shite
11. Silly Girl(未発表曲)
12. NEW LIFE
13. FANTASY
14. cherry(桜の咲くころ)
ENCORE
01. Steve Steve,me(未発表曲)
02. goodmorning everyone(未発表曲)