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第44回 ─ KRAFTWERK WELT TOUR 2004 @ZEPP TOKYO 2004年2月28日

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2004/03/11   14:00
更新
2006/01/19   18:37
テキスト
文/bounce.com編集部

「クラフトワークの音楽はいつの時代でもクラブに根付いていたし、産業都市と密接な繋がりを持っていた」(ラルフ・ヒュッター:bounce誌インタビューより)。〈electraglide 2002〉にて幕張メッセに降臨したクラフトワークが、今度はお台場にやってきた! 日本科学未来館を横目に、ゆりかもめに揺られてZEPP TOKYOに着くと……。

 ノートPC〈VAIO〉を前に直立不動の4人の男が並んでいた。赤いシャツに黒ネクタイで、『The Man Machine』のジャケットと同じスタイル。あるテクノ・アーティストが「クラフトワークのライヴは彼らのコンセプトを提示するショウケースなんだ」と語っていたが、本日はこのコンセプトにどこまでウットリさせてもらえるのか……。期待と不安がよぎる中、一曲目はいきなり“The Man Machine”。

 今回のライヴの最大の特徴は、〈KLING KLANG MUSIC FILM PRODUCTION〉による映像と音楽の素晴らしい連動だった。最新盤『Tour De France』の収録曲を中心に構成された前半戦、“Tour De France”ではモノクロの自転車競技シーンにトリコロール・カラーが彩られ(公式サイトで視聴可能)、“Vitamin”ではユラユラと揺れるカプセルや錠剤のグラフィックが映し出され(なんだかドラッギーだった!?)、“Autobahn”ではレトロなワーゲンと家族の肖像が描かれた。三台のプロジェクターが映し出す映像がメンバーのシルエットと絶妙にマッチする光と影による演出は、ライヴでしか体験できないクラフトワーク・イリュージョンだった。シンプルに研ぎ澄まされたそれら(メンバーの立ち振る舞いも含めて)は、クールとしかいいようがない! 

 そして淡々と幕引きするかと思いきや、3回にわたるアンコール。これはアンコールという以上に、サービス精神旺盛な〈お色直し〉だった。件の黒ネクタイの上に赤LEDライトをピカピカ輝かせて登場したり、“Robot”のイントロとともにクラフトワーク・ロボット(手が動く&首が動く!)があらわれたり、全身タイツに蛍光色のグリッドラインが仕込まれた衣装で登場したり……。幕が閉じて、また開く度にオ<リジナル・テクノポップ・クラシックが披露され、新旧のファンが驚き喝采した瞬間。“Radioactivity”ではキッチリ反核のメッセージを打ち出したが(歌詞にHIROSHIMAの文字が追加されたりしていた)、インカムマイクに手をあてて唄うラルフ・ヒュッターのそのスタイルはどこかしらキュートだったり。最後には“Music Non Stop”、メンバーが極めてクールな表情でソロ演奏を披露し順次退場。

 もちろん派手なソロ演奏や汗だくの観客は無かったし、大幅な楽曲のリアレンジもなかったが、彼らのライヴはショウケースであり万博。オールド・ファンでなくても、その光と音の競演、そしてドイツ男たちのユーモアに感激するはず。今回のタイミングを逃された方も、機会があればぜひ体験してください。
 
・KRFTWERK WELT TOUR 2004 @ZEPP TOKYO 2004年2月28日 セットリスト
Intro
The Man Machine
Planet Of Vision
Etape1/3/Chrono
Etape2
Vitamin
Tour De France 83
Autobahn
Model
Neonlight
Radioactivity
Tee
Numbers
Computerwelt
Homecomputer
Pocketcalculator
Roboter
EKG
Aerodynamik
Music Non Stop