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第48回 ─ 空気公団 〈空風街LIVE〉 @ 渋谷CLUB QUATTRO 2004年4月18日

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2004/04/22   17:00
更新
2006/01/19   18:37
テキスト
文/ヤング係長

メンバーの石井敦子の脱退をきっかけに、〈第一期の活動終了〉を報告した空気公団。完成度の高いポップスを作りながら、自分たちのペースをなによりも大事にしてきた彼らの(とりあえずの)集大成の様子をレポート!

入り口の扉まで観客でびっしり埋まったフロア。そこには第一期空気公団最後のステージを見にきた観客の悲壮感が漂っているのかとも思ったが、そんなことはなかった。「いつもどおり」な顔つきの客が多く、なんだかそれがかえって空気公団らしいなぁ、なんて思いにさせられる。やがて会場にハーパース・ビザールの“Witchi Tai To”が流れ、メンバーがステージに表れると、今度は逆にさっきまでフロアに漂っていた穏やかな空気は一変、観客からの大きな拍手が捧げられる。

  ステージに上がったのは、メンバーの3人を含めて合計11人。ドラムにギター、キーボード、コーラスがそれぞれ2人。そこにベース、ヴォーカルがこの日の固定メンバーで、そこにゲストの田村玄一が参加し“夕暮れ電車に飛び乗れ”がスタートした。最初の数曲でこそ、多用されるシンバルに埋もれてヴォーカルとコーラスが届きづらい瞬間はあったものの、進行に合わせて音のバランスに違和感がなくなってくる。やや緊張が見られたヴォーカルの山崎ゆかりの表情も、曲が終わるごとに響く観客からの大きな拍手に背中を押されるように柔らかくなっていくのがわかる。

  途中、某TV番組のノベルティーらしきギターを抱えたキマタツトム、上下ボーダーというファッションで身を固めた七尾旅人がそれぞれゲストで登場。キマタが“動物園のにわか雨”“白”を、七尾旅人が“音階小夜曲”“旅をしませんか”に参加。共にハイ・トーンのヴォーカルで第一期空気公団を送り出すような丁寧な歌を聴かせていた。また当日販売されていたTシャツのデザインをした漫画家/イラストレーターの横山裕一が曲にあわせたイラストを描いていく、という彼ららしい演出も見せてくれた。

  筆者は、彼らの音楽を聴くと〈誠実で頑固な人たちの音楽〉というイメージが沸いてくる。その思いは、当日のライヴを見てもやはり変わらなかった。CDを再現することを目的とするのであれば、ツイン・ドラムを含めた10人のメンバーでライヴをする必要はなかったと思うのだが、空気公団にとって当日は〈現状報告〉や、いわゆる〈メモリアル・ライヴ〉以上の意味をファンに提示する必要があったのだろう。近作では、初期作品で見られたプライベートな作風が多少薄くなり、リズムへのこだわり、空間を生かした音作りが顕著になってきていた彼ら。それをさらに進めるようなライヴを見せてくれただけに、彼らの〈次の動き〉に対する期待は大きく膨らんでくる。それは筆者だけではなく、あの空間にいた多くの人が共有していたものなはずだ。3度のアンコールがあったにも関わらず、いつまでも鳴り止まない、アンコールを要求する拍手がそれを証明していた。

空気公団 空風街LIVE @ 渋谷CLUB QUATTRO 2004年4月18日
01. 夕暮れ電車に飛び乗れ
02. わかるかい?
03. 電信
04. ここだよ
05. 動物園のにわか雨(ゲスト キマタツトム)
06. 白(ゲスト キマタツトム)
07. 日々
08. 歩く
09. 別れ
10. 思い出俄爛道
11. とおりは夜だらけ
12. 呼び声
13. 音階小夜曲(ゲスト 七尾旅人)
14. 旅をしませんか(ゲスト 七尾旅人)
15. うしろまえ公園
16. 窓越しに見えるは
17. 融

アンコール1
18. 僕らのひみつ
19. コーヒー屋のおねえさん
20. 暮らし
21. レモンを買おう

アンコール2
22. 田中さん愛善通りを行く
23. 休日

アンコール3
24. レモンを買おう