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第49回 ─ TOWER RECORDS Japan Reggae Festa@宜野湾市海浜公園屋外劇場 2004年4月24日(土)

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2004/05/07   17:00
更新
2006/01/19   18:37
テキスト
文/大石 始

沖縄の恒例レゲエ・フェス〈TOWER RECORDS Japan Reggae Festa〉が今年もやってきた! しかも出演者といったら、PUSHIM、KING RYUKYU、Sister MAYUMI、RYO the SKYWALKER、湘南乃風、FIRE BALL、DRY&HEAVY、HOME GROWNなどなど。こんだけ揃えて一体、どこまで盛り上がっちゃうの? というわけで、現場の模様をbounce編集部大石特派員がレポート。

 行ってきましたよ、〈TOWER RECORDS Japan Reggae Festa〉。沖縄ということで当然短パン&ビーサンで余裕でしょ!と完全武装(?)で乗り込んだワケですが、当日はあいにくの曇り空で、イヴェント終盤には雨まで降り出す始末。まあ、関係ないけどね、踊っちゃうから……と若干のやせ我慢をしているうちにイヴェントはスタート。――で、出演順にリポートをお届けしようと思ったのですが、とにかく出演アーティストがもりだくさんのこのイヴェント、全員のパフォーマンスを紹介するのは困難でありますので、(あくまで独断で)注目アーティストをいくつかピックアップしてご紹介しましょう。あくまでも独断で、ね。


 まずは小さな身体から曇り空を吹き飛ばさんばかりのヴァイブスを放つ女性シンガー、PANG。先日リリースされたミニ・アルバム『ゆらり』からの楽曲を中心に、中盤からは女性DJ、烈火を招き寄せてのパフォーマンスを展開。とにかく彼女の場合、楽曲が良いんですわ。ただ、キャッチーなメロディーを心地良く聞かせる彼女の大らかな歌声こそが楽曲の魅力を引き出しているわけで、その堂々としたステージ捌きも含めてかなりの可能性を感じさせてくれました。


 お次はご存じ、日本が誇る最強のサウンド=MIGHTY CROWN。おそらくトリの直前に登場するのでは?という予想を覆すように、贅沢にもイヴェント中盤で登場。竹中直人のダブ(!!!)という超反則技で幕を開けたこの日のセットは、ビヨンセ“Crazy In Love”やパンジャビMC“Mundian To Bach Ke”などもグチャグチャに織り混ぜた定番セットを中心に置きながら(リル・ジョンの“Get Low Remix”も新たに加わってました)、定番~ブランニューをバランスよく配置したさすがの内容。BUTCHERらの乱入も〈現場〉らしくておもしろかったし、当日配付されていた黄色いタワレコ・タオルが振り回されまくって会場中がまっ黄色になっておりました。しっかりと8月28日に行われる〈横浜レゲエ祭〉の宣伝もして嵐のように去っていった、さすがのMIGHTY。

 さて、この日いちばんの重低音を鳴らしていたのは当然のようにDRY & HEAVY。まず彼らの出番になると突然音が変わったことにビックリしました。低音の厚みはもちろんのこと、すべての音の輪郭が俄然クッキリし、それにも関わらずダブ特有のモコッとした音像もあって……ただひたすらにその音に圧倒されていると、PA卓にいたのはもちろん敏腕ダブ・エンジニア、内田直之。つまりは彼の手の平でいいように遊ばれていたわけですな。


 そして、新作もリリース間近のHome Grownをバックに従えたショウケースに登場したのは湘南乃風、FIRE BALL(新作もリリース間近!)、PUSHIM、RYO the SKYWALKER(予定されていたKEYCOは残念ながら体調不良のため不参加)。で、なかでも素晴らしかったのはPUSHIMでしょう。彼女にしては珍しいマイナー・ルーツ調の新曲“SOLDIER”も印象深いものがあったけど、曲名は不明ながらもアカペラで歌った新曲には泣かされた。お馴染みの“FOREVER”や“夢じゃないToday”も当然のように素晴らしかったし、ステージ上の姿にもいよいよ後光が射してきた感じ。トリを飾ったRYO the SKYWALKERの、毎度ながらのヴァイブスの振り切れ具合にも圧倒された。ただ、日本においてたったひとりでトリを取れるDJがどれだけいるのかと考えると、やはりこの人は偉大です。マイクひとつでグイグイと聴くものを引き込んでいくその話芸の巧さにもさらに磨きがかかってきたようで、ラストにドカン!と一発カマしてくれました。

 ――とこんな感じでざっくりと紹介してみましたが、(繰り返すようですが)ここに名前を書けなかったアーティストたちも含めてすべてのパフォーマンスが実に素晴らしいものだったことを最後に付け加えておきます。KING RYUKYUやSISTER MAYUMIといった地元アクトたちもおもしろかったし、カルカヤマコトやBAGDAD CAFE the trench townも素晴らしかった。でも、いちばんサイコーだったのは終演後でもゴミがほとんど落ちていなかった会場でしょう。これもまた〈沖縄でレゲエ祭を開催すること〉についてコンシャスなオーディエンスのみなさまの存在があってこそでありまして、やっぱりこのイヴェントはさまざまな意味で開催する意義があると再認識。ということで、来年も懲りずに短パンで行きますよ。

▼ おもな出演アーティストの作品をご紹介!