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第50回 ─ Down Beat Ruler@恵比寿ガーデンホール 2004年5月3日(月)

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2004/05/14   15:00
更新
2006/01/19   18:37
テキスト
文/小野田 雄

この日恵比須ガーデンホールに集結したのはSLY MONGOOSE、EGO-WRAPPIN'、SKA FLAMES、クボタタケシ、川辺ヒロシ、大貫憲章、須永辰緒etcとごきげんな酔いどれルード・ミュージック・ファンには堪らないメンツ。ライヴ/DJパフォーマンスともども盛大なお祭り気分だった現場の模様を早速リプレイ!!


SLY MONGOOSE


EGO-WRAPPIN'


須永辰緒


クボタタケシ


SKA FLAMES

 5月3日恵比寿ガーデンホール。その日はゴールデン・ウィーク真っ直中ということで、ただでさえお祭り気分なところを、さらにアゲられたのは、フードやドリンクはもちろんのこと、DJ/バンドを集めて最高最良のルード・ミュージックでガツンとやらかそうという主催者、SUN SHOTの心意気だ。ただなんとなくブッキングされたライヴでは望むべくもない、気持ちのこもったもてなしが何より嬉しい。
 
 まずはあっちでロック、こっちでレゲエと2フロアでさまざまな音楽が展開されたDJの選曲に体を揺らし、オープニングを飾った7人組ラスティック・バンド、Los Rancherosのパフォーマンスで酔いどれ指数を高めると、登場したのはSLY MONGOOSE。ネタンダーズのギタリスト、塚本功とパーカッションの富村唯を正式メンバーに加え、6人組となった彼らのパフォーマンスは、多彩なリズムを軸に展開されるブレイン・ドレインなレコーディング作品以上に、ルーツであるレゲエ/ダブの影響が色濃くにじみ出す。そして何より驚かされたのがオーディエンスの好リアクションだ。満員の会場では拳を振り上げる者、横ノリのグルーヴで踊る者とそれぞれの楽しむポイントで反応し、盛り上がりはクラッシュ“Rock The Casba”に対する返答と言える“Snakes And Ladder”でピークへ。ライヴを重ねることで向上を続ける彼らのパフォーマンスは今後も注意を払う必要があるだろう。
 
 続くEGO-WRAPPIN'のライヴを観るのは個人的には昨年末の東京キネマクラブ以来なのだが、7人編成で登場した彼らは相変わらず切れまくっていて、観るたびにその尋常ではないテンションに圧倒される。パフォーマンスの時間こそ短かかったものの、新曲を含めて演奏される1曲1曲にはスウィング・ジャズ、スカ、レゲエ/ダブ、ロックンロールとこのイベントの核となる音楽のエッセンスがぎゅっと凝縮されていて、しかもそれがとんでもない熱量で耳に飛び込 んでくるのだから、もちろん不満なんて微塵もない。ただしこんな最高のパフォーマンスを見せつけられると、レコーディング中だというニュー・アルバムを一刻も早く!と言わざるを得ない。
 
 そして、この日は短いながらも充実したDJ達のプレイも忘れてはいけない。早い時間にオールドスクール・ヒップホップで会場を沸かせた荏開津広やジャズにパンク・スピリットをにじませていた須永辰緒、青山の地下クラブ〈MIX〉でルード・ボーイズ&ガールズを踊らせ続けるクボタタケシと川辺ヒロシの危険極まりないダビーなプレイほか好アクト多数。ここでは2フロアに大挙して登場したDJ全てに触れることはできないが、トリを務めた〈KING OF LONDON NITE〉こと大貫憲章氏がロックンロールをプレイする、その説得力は、DJブースで彼をリスペクトするDJたちが踊り狂っていたことからも間違いなく絶大なものがあり、そんな彼のプレイを心から堪能しつつパーティはラストへ突入。
 
 そこに登場したのは結成以来、長きに渡って活動を続けるオーセンティック・スカ・バンド、SKA FLAMES。オーセンティックのなんたるか、スカのなんたるかを噛みしめた演奏は間違いなく渋いのだが、オーディエンスの盛り上がりが近年ない熱狂的なものであったのはスカという音楽が日本の土壌に浸透し、根を張っている証でもあるだろうし、彼らのライヴは実際に素晴らしすぎた。それは大貫憲章氏にとってのロックンロールがそうであるように、無言の説得力とでもいうべき有無を言わせぬ大きな何かが曲に込められていたからで、それがミラーボールの光と共に降り注げば、どうして胸を打たれずにいられようか。

 そして、アンコールを経て気付いてみたら時計は23:30。6時間に及んだルード・ミュージックのカーニバルは一瞬のうちに通りすぎていった。

▼この日の出演アーティストの作品(の一部)を紹介