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第58回 ─ SONICMANIA 05 @幕張メッセ 2月5日(土)、6日(日)2005年

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2005/02/17   17:00
更新
2006/01/19   18:37
テキスト
文/久保 憲司

〈冬のサマソニ〉という語義矛盾の愛称で最早恒例となった、〈SONICMANIA〉。今年も例年同様国内外の豪華なロック・アクトが幕張メッセに勢揃いして開催された。2日間の祭典を彩ったのは、グッド・シャーロット、ASIAN KUNG-FU GENERATION、マーズ・ヴォルタ、マリリン・マンソン、ヴェルヴェット・リヴォルヴァーといった強者たち。さっそくそのステージの模様を.comオリジナル連載〈ロック千夜一夜〉でもお馴染みの久保憲司が紹介いたします。

2月5日(土)


STERIOGRAM

 クライブ・ランガーをプロデュースに起用したドッグス・ダイ・イン・ホット・カーズを見たいと早めに家を出たが、会場に着いたらレッド・ツェッペリンのような瞬間爆発の凄いロック・バンドが大勢のお客を盛り上げていた。このかっこいいバンドは何だとスケジュールをチェックするとステリオグラム、ニュージーランドのバンド。レッド・ツェペリンと言うよりAC/DCミーツ・ビースティ・ボーイズか。おっとAC/DCはオーストラリア。でもジェットといい南太平洋にいいロック・バンドが多いのは間違いなさそうだ。

  スペース・ロック! 頭のアフロが健在な限りマーズ・ヴォルタは大丈夫だろう。前に見た時よりもバンドとしてのまとまりが出てロックしている。グッド・シャーロットやアジカンのお客さんの前でも大奮闘していた。でもやっぱり難解。彼らの世界に入ろうと思わないとノリきれないのが残念。MC5が革命を求めフリー・ミュージックに走ったように、マーズ・ヴォルタもMC5にリスペクトを込め、とことん行くのだろう。その気持ちがよくわかるからぼくはマーズ・ヴォルタを嫌いになれないんだけど、そろそろ彼らの新しい冒険を見てみたい気もする。


KASABIAN

 マーズ・ヴォルタが複雑になるのをあざ笑うかのようにカサビアンは〈これがダンス・ミュージックだ、これがロックだ〉とシンプルに攻撃してくる。ほとんどスネアーの音しか聴こえてこない。しかしこれが客を踊らせ、興奮させる。CDで聴こえる音のカオスを、このハードなスネアー音だけが見事に統一させている。エレクトリック・ミュージックの老舗イギリス、歴史のなかから自分たちの答えを見つけているんだろうな。揺れないビートのなか、レジスタンスのようなかっこいいメンバーがクールに暴れる。イギリスでクリスタル・パレス2日間2万人をあっというまにソールド・アウトした訳がよくわかった。

 
  カサビアンに対抗するかのようにクールに始まったアジカンでしたが、そんなのは一曲だけ、後は最後まで飛ばしてくれました。お客もそれ以上に大合唱で答え、今日の勝者はアジカンだなと誰もが思ったと思う。このごろ日本のバンド元気ないなと思っていたけど、全然そんなことないですね。去年の夏、RISING SUNでBUMP OF CHICKEN見て大感動していたのですが、いまこの2つのバンドが日本のロックを引っ張っているのでしょう。バンプがブリティッシュぽく、アジカンがアメリカぽいと思うのはぼくだけでしょうか。ただ単にジメッとカラッとの違いでしょうけど。

 
  アジカン凄いと思ってたら、グッド・シャーロットはエンターテイナーだった。MC完璧、日本語上手すぎ、ピロピロピロ。海外に行くとグッド・シャーロットのビデオってよくMTVで流れていて、もっとオドロオドロしたバンドかと思っていたけど明るいのでびっくりした。基本的にはトレンチコート・マフィアになるようなアメリカのいじめられっ子が音楽によってポジティヴに立ち上がったというバンドなんだろうけど、あんたら明る過ぎ。でもそこがアメリカでいいんだろうな。彼らのポジティヴさはファンじゃなくてもビシバシ伝わってきた。間違いなくアメリカを代表するロック・バンドの一つだろう。

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