こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

NEWS & COLUMN ニュース/記事

第78回 ─ bounce×UNIT presents bouNIT vol.5 @代官山UNIT 2007年2月25日(日)

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2007/03/05   14:00
更新
2007/03/29   15:16
テキスト
文/田家 大知、澤田 大輔、ヤング係長

bounceと東京・代官山のUNITが、全ての〈NO MUSIC, NO LIFE.〉な人々にお届けするシリーズ・イベント〈bouNIT〉。素晴らしいアーティストたちが3フロア同時進行で繰り広げるステージと、食事やお喋りも心地良く楽しめる和みのスペースとで、日曜日の午後をグルーヴィー&リラクシンに彩るこのイベントの第5弾が、去る2月25日(日)に開催されました。bounce.comでは当日の模様をダイジェストで速報レポートいたします。


photo by MIKA WATANABE

DJ セニョリーナ a.k.a. G.RINA @SALOON 15:20~
  G.RINAは今回〈DJ セニョリーナ〉として、〈SALOON〉のDJブースに登場。パーティー序盤からアッパーなグルーヴを組み上げるプレイ・スタイルは、彼女の作品で聴くことができるしなやかで繊細な音世界とは実に対照的。ハウス主体のセットに、思わず拳が上がるロッキンなトラックも挟み込みながら、bouNIT最深部のフロアを高いテンションでコントロールしていく。ラストにはKING KIM氏をサポート・ギターに迎え、“Music”と紹介された新曲をライヴで披露するというサービスも。彼女の華奢なルックスの奥に漲る〈男気〉を発見した一時間でした。*澤田


photo by yayoi

高田漣 @UNICE 16:00~
  おなじみ、司会の凡ちゃんの〈アコースティック・ギター奏者〉という紹介に「本当はペダル・スティール奏者なのに……」とつぶやいてみたけれど、ほとんどの人にとってそんなことはどうでもいい。おそらく本人もどう紹介されても問題なんてないと思っているのではないだろうか。この日の演奏はまさしくそんな感じで、〈シンガー・ソングライター高田漣〉という肩書きがピッタリはまるものだった。アコースティック・スティール・ギターを膝の上に乗せ、飄々とした佇まいでショパンのメドレーを演奏。後半はアコギに持ち替えヴォーカルも披露し、父親・高田渡も歌ったラスト曲“私の青空”まで生々しく温かいムードで会場を包んでくれた。扱っている楽器の特性からか、彼に対して脇役的なイメージを持っている人も多いと思うけれど、新作『12 notes』を聴けば、そのサウンド・プロダクション能力の高さと、アーティストとしての志、持ち前のタイムレスな空気感が伝わってくるはず。*ヤング


photo by MIKA WATANABE

Taiji All Stars feat.bird @UNIT 16:30~
  〈いい女の歌を最高の曲に仕上げること〉をコンセプトに掲げた、佐藤タイジの新ユニット、Taiji All Stars。hitomi、松雪泰子、UA、birdなどなど、まさしくいい女たちが集結したアルバム『FEMME FATALE』が好評な彼らは、まずはヴェルヴェッツの“Femme Fatale”のカヴァーからスタート。タイジが「お昼だから寝起きだよ~」とこぼしながらも、指先にスイッチが入るとギターの鬼となるのはさすがジャム中毒者。アルバム曲を彼自身が歌い、だいぶ男くさい仕上がりでしたが、それもいい味。ラストにはbirdが登場し、“君が笑う方へ”を歌ってくれました。birdと目が合うたびに中学生のように喜ぶ佐藤タイジが可愛かった! *田家


photo by MIKA WATANABE

土岐麻子 @UNICE 17:30~
  ボッサ・アレンジの“My Favorite Things”でスタートしたこの日の土岐麻子。ギタリストの高内春彦をサポートに迎え、終始2人編成でライヴは行われた。ジャズ・マナーを踏まえたアダルトなギターの伴奏に合わせ、デュエットするように抑えた歌唱を見せる彼女。最初こそ緊張を見せていたが(昨年UNITで行ったソロライヴよりも硬かったような……)、3曲目となる自作の“私のお気に入り”が始まるころには歌とギターがしなやかに絡み合う。演奏に合わせ終始見せていた優しい笑顔が、〈UNICE〉内にじっくりと広がっていくのを感じることができた。数多くのジャズヴォーカル・ナンバーをカヴァーしていながら、〈ジャズ・シンガーではない自分が、ポップスとしてジャズを伝えていきたい〉というMCがうなずける内容だった。*ヤング


photo by yayoi

AFRA & INCREDIBLE BEATBOX BAND @UNIT 18:00~
  MCの大木凡人も「観たくて、聴きたくて、たまらなかったんです!」と出演を熱望していたAFRA & INCREDIBLE BEATBOX BAND。海外ツアーから直帰した勢いそのままに、英語混じりのコール&レスポンスで観客をノセまくる。人間の声とは思えないブインブインの重低音に腰は浮かされっぱなし。フェーダーもピッチコントローラーもイコライザーもサンプラーもラッパーも全て口でまかなう家内制ビート工場。MCでの関西弁のノリツッコミは売れっ子芸人並みで、パートごとにポジションを入れ替わるチームワークとダンス力はジャニーズもビックリ。オチは3人で車に乗り込み(もちろんヒューマン・ビート・ボックスで)、派手なカークラッシュで大団円。会場は爆笑&拍手喝采! *田家


photo by yayoi

イルリメ @SALOON 18:45~
  MU-STARSのDJプレイ中もサイド・キックをがっつりかましていたイルリメが、そのまま自身のライヴへとなだれ込む。観客とのコール&レスポンス(というか掛け合い)を、ごくごく自然に成立させてしまう人懐っこいMCでフロアを揉みほぐしつつ、時にドラムを叩き、時に観客をステージに呼び込むアトラクション満載のパフォーマンスでグイグイと盛り上げていく。モッシュ状態の中で繰り出された“イルリメのLOCOMOTION”では、フロアの前から後ろまで、観客の頭上を往復で泳ぎきるという離れ業に成功! 〈SALOON〉がこの日の最高気温を記録した瞬間でした。*澤田


photo by MIKA WATANABE

GANGA ZUMBA @UNIT 19:10~
  THE BOOMの宮沢和史が、古今東西のプロフェッショナルな音職人たちを引き連れて結成したGANGA ZUMBA。昨年のフジロックで観た時も、聴き手を選ばない真のミクスチャー・サウンドに衝撃を受けたが、その後もライヴを重ねた彼らのサウンドの強度は明らかに増していた。高野寛、ルイス・バジェなど、国籍も言語も音楽的バック・グラウンドも異なる個性派ミュージシャンたちが(マルコス・スザーノは欠席)、ラテン、サンバ、沖縄音楽、ディスコ、ロックといったサウンドを縦横無尽にクロスオーヴァーさせる。彼ら目当てで来たファンはもちろん、曲を知らないキッズたちも阿波踊りのように騒ぎまくるものだから、宮沢も「今日の民衆は最高だね」と上機嫌。最後は4月発売のアルバムに収録される新曲“Why?”を初披露してくれた。*田家


photo by yayoi

akiko @UNICE 19:50~
  4月25日にはリオ・デ・ジャネイロ&サルヴァドールでレコーディングした1年半ぶりのアルバム『VIDA』を発売するジャズ・シンガー、akiko。昨年12月に同じくUNITで行ったライヴではさまざまなコラボを見せてくれた彼女も、この日のライブはオルガンとアコギというシンプルなスタイル。最初は若干緊張していた面持ちだったが、バックのファンキーな演奏とお客さんたちの手拍子などで盛り上げられると、はにかむような笑顔が弾ける。“I Want You To Be My Baby”での、客席との自然発生的なコーラスの掛け合いもいい感じ。手作りのホーム・パーティのような、ナチュラルでハート・ウォーミングな雰囲気のショウでした。新作はブラジリアン・サウンドのアルバムとのことで、早く聴きたい! *田家


photo by MIKA WATANABE

YOUR SONG IS GOOD @UNIT 20:30~
  UNITステージのトリを飾ったのは、カリブ海経由の開放的なグルーヴを鳴らす、当代屈指のパーティー・バンド、ユアソン。「ウィッス! ウィッス! ウィッス!」の号令で幕を開け、代表曲“SUPER SOUL MEETIN'”とアウトロの大暴動で締めるステージングは、万全にしてもはや定石。ハッピーなヴァイブレーションが充満するフロアの狂騒っぷりもハンパない。やんちゃなキッズも指の黒いマニアも、誰もが飛び込める彼らの深~いフトコロは、その裾をますます拡張している模様です。アンコールの“FUNKY SOYSAUCE”では、レーベル・メイトのsarudog(MU-STARS)&イルリメに加えてAFRAまでをも呼び込み、愉快なマイク・リレーを展開。イベントらしい豪華なセッションで、日曜の夜を鮮やかに締めくくってくれました。*澤田

▼上記出演アーティストの近作品