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第27回 ─ またまた番外編! くるり×LUCKY LIPSのスペシャル鼎談

連載
Go! Go! NOISE McCARTNEY RECORDS
公開
2007/08/09   18:00
テキスト
文/井口 啓子  写真/有本 真紀

くるり主宰レーベル〈NOISE McCARTNEY RECORDS〉の業務日誌的な当連載。ですが、今回は先月に続いての番外編をお届け! くるりが「彼らを見てなかったらバンドをやってなかった」と最大級のリスペクトを捧げるバンド、LUCKY LIPSのアルバムがノイズからついにリリースされました。98年に京都で結成して以来、独自の進化を遂げてきた奇跡のロック・バンドのファースト(!)発売を記念して、LUCKY LIPSのkoba-yang、くるりの佐藤&岸田の三方にその軌跡を語ってもらいましたー。

佐藤 LUCKY LIPSとの出逢いは、遡ると僕らが高3くらいの頃かな。

岸田 知り合いのミュージシャンに「LUCKY LIPSってバンドがいて、そこにすごいギタリストがいる」ってライヴに連れていかれて。ウワーッ!ってなった。

koba-yang で、気づいたら知ってたっていう(笑)。CDを作ろうって話が具体的に出たのは、2回目の〈みやこ音楽祭〉のとき(05年12月)かな?

佐藤 そうそう。ライヴに出てもらって、どうしてもCD作りたくて。


岸田 LUCKY LIPSがずっとやってはるのは知ってたけど、自分ではもう何年も見てへんかったから、失礼な話やけど、落ち目になってるんちゃうかなとも思ってたんですよ。それが一回目の〈みやこ音楽祭〉(04年12月)のときに久々にライヴを見たら、なんにも変わってなくて。よく青春スポ根マンガで「このバカ野郎が~ッ!」て泣くシーンあるじゃないですか? あんな感じになって(笑)。これは録っとかなあかんなって。

koba-yang 今まで音源自体、作ってなかったからね。カセットテープの時代にMTRで多重録音っぽいことをしたりもしたけど、そういうのが苦手なバンドやから。今回仕切ってくれる第三者がいて、ようやくアルバムに至った感じ。しかも、ただの第三者やないしね。

岸田 いやいや、ただのバンドやないですからね(笑)。なんか昔って、これくらいカッコいいバンドやからCD作っていいんですよ、みたいな考え方があったと思うんですよ。いまは誰でも簡単に録音して、自分でCDを作れてしまう時代やけど、僕はやっぱりアルバムってひとつの記念写真みたいなもんやと思うし、それを作るときっていうのはバンドの歴史の中でもちゃんと理由があると思う。

 だから、作ったら結果的には絶対、ポップなものにはなるやろなあと思ってたけど、必要以上にオシャレにせなとか、今の音楽に無理矢理すり寄るようなのにはしたくなかった。「あー、服に着られとるわ」みたいなことになりがちやし、本当にオシャレな人は着古したTシャツとジーンズだけでカッコいいんですよ。


佐藤 LUCKY LIPSはホンマにそのままでカッコいいし、ライヴがすごくいいんで、レコーディングも「別録りであれこれいじって~」とかは違うなっていう気持ちはあったよね。

岸田 いつもスタジオで練習してはるように、「いっせーの」でやってもらって、そこから考えた感じ。一発録りって、実はそれしかできないから一発録りにしてるバンドも多いけど、LUCKY LIPSの一発録りはちょっと違う。ちゃんと完結した曲があって、なおかつ曲の中に不確定要素があって、三人ともが、それを場の空気でおもしろく変えていけるバンドやから。レコーディングでも誰かがちょっと一山作ればパーッと曲が反応するみたいな。蹉跌に磁石を置くようなおもしろい瞬間がいっぱいあった。だから、そんな何テイクも録ってないけど、どれも全然違うから迷った。

koba-yang わざとアレンジを変えてるとかではないけど、なんか天気が微妙に変わるようにノリみたいなのも変わるっていう。

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