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第4回 ─ 新作『おはよう』にまつわる作品たち

連載
曽 我 部 恵 一、 POP職 人 へ の 道
公開
2007/12/20   22:00
テキスト
文/bounce.com編集部

ご存知〈キング・オブ・メロウロック〉こと曽我部恵一のマンスリー連載! ご自身のお店〈City Country City〉でも素敵な〈手描きPOP〉を作っている曽我部氏が、タワーレコードのPOPを担当。独自のテーマでCD/DVD/書籍をチョイスし、その作品のPOP作りに挑みます。完成したPOPとセレクション・アイテムは、タワーレコード新宿店の〈曽我部コーナー〉にて展開……というWEB&店舗の連動企画! さて今月は、曽我部恵一ランデヴーバンドのデビュー・アルバム『おはよう』がついに発売。というわけで、曽我部氏が『おはよう』について語りながら、本作に影響を与えた作品を紹介します。

●今月のセレクション・テーマ:新作『おはよう』にまつわる作品たち

1.曽我部恵一ランデヴーバンド『おはよう』
2.曽我部恵一『Sketch Of Shimokitazawa』
3.FRED NEIL『Echoes Of My Mind』
4.NICK DRAKE『Bryter Layter』
5.TIM BUCKLEY『Happy Sad』
6.VAN MORRISON『Astral Weeks』

曽我部 「05年に『Sketch Of Shimokitazawa』っていう弾き語りのアコースティック・アルバムをリリースしたんですけど、この中に、ランデヴーバンドの伊賀(航)君とやってる“七月の宇宙遊泳”っていう曲があるんですよ。これがランデヴーバンドのプロト・タイプなんです。この曲が今回の『おはよう』に繋がっていった」。

 「『おはよう』は、フレッド・ニール『Echoes Of My Mind』みたいなフォーキーなアルバムなんだけど、フォーキーであることと同じくらい重要だったのが、バンドのセッションで作り上げた、ということ。ニック・ドレイク『Bryter Layter』とか、ティム・バックリー『Happy Sad』とか、要するに〈ジャズのセッションで録音したロックのアルバム〉が昔から好きなんです。一晩くらいで、特に打ち合わせもなくレコーディングしてしまうという。曲も、あるフレーズを拡大していくような、ジャズのやり方で作られたもの。『おはよう』では、まさにそれをやってみたんです。だから、今回のレコーディングは1日だけ」。

  「あと、セッション方式を取り入れたのは、歌のあり方を崩したかったというのもありますね。長いこと音楽をやってると、歌が硬くなるというか、歌のサイズ感が決まってきてしまうところがあるんですよ。でもセッションの中だと、歌を楽器みたいに使える。そうすることで、歌をもっとやわらかく、流動的にしておきたかったんです」。

  「セッションでアコースティックで、ってアルバムだと、ジェイムス・テイラーの『One Man Dog』なんかもありますけど、あれはもっと楽曲がかっちりしてますよね。今回は、レコーディング前には曲の断片しか用意してなかったし、その場で一から作っていった曲もある。そこが大切だったんです」。

  「そういう意味で俺が好きなのは、ヴァン・モリソン『Astral Weeks』。セッション・アルバムで、あれ以上の作品はないんじゃないかと思います。独特の浮遊感というか……ロックの作り方とまったく違う感じがあるんですよね」。

  「それから今回のアルバムは、俺が家で聴ける。そこもこれまでのアルバムと違うところかもしれない。表現に向かっている時って、自分が家で聴くために作ってるわけではないんだけど、『おはよう』は家で聴いていて気持ち良いんです。曽我部恵一バンドでやっているようなロックンロールとは結構対照的かもしれないですね」。

  「今までは、『おはよう』のリラックス感と、ロックンロールな緊迫感とを、一つのアルバムの中で一緒に出してきたんですよね。サニーデイ時代もソロ以降も。レコーディングしていると、あれもやりたい、これもやりたいって思っちゃうから、色んなものが詰まった作品になってたんですよ。『おはよう』だって昔だったら、〈これに電子音を入れよう〉なんて言ってたかもしれないし。でも最近は、今回みたいにストイックに一つの側面だけを表現できるようになった。年齢的なこともあるかもしれないけど、そこは成長したのかも(笑)」。

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