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第28回 ─ ろくでなしリズム&ブルース

ESSENTIALS 永遠のリズム・キング盤

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2008/02/07   14:00
更新
2008/02/07   17:59
ソース
『bounce』 295号(2008/1/25)
テキスト
文/出嶌 孝次、林 剛

IKE TURNER'S KINGS OF RHYTHM 『Down And Out -The Cobra Sessions 1958-1959』 Pヴァイン 
シカゴのブルース・レーベル、コブラに残した録音をまとめた好編集盤。アイク軍団がバックを付けたバディ・ガイやオーティス・ラッシュの曲も収めており、特にベティ・エヴァレットとは好相性だ。のんびり系ブルースの“Walking Down The Aisle”やドゥワップ調の“Box Top”など、バンド名義曲の粋でプリミティヴな格好良さは言わずもがな。
(出嶌)


IKE & TINA TURNER 『Dynamite!』 Sue/Collectables(1963)
ティナが歌い吠えるコンビ初期のヒット曲“A Fool In Love”“I Idolize You”を含むスー時代のアルバム(60~61年の曲を収録)。アイケッツの前身であるアーテッツと掛け合う様子などは当時のレイ・チャールズにもよく似ていて、50年代R&Bの薫りを残している。ミッキー&シルヴィアが掛け合ったヒット曲“It's Gonna Work Out Fine”はやや異色だが、これも彼らの代表曲となった。
(林)

IKE & TINA TURNER 『The Soul Of Ike & Tina』 Kent/Pヴァイン 
64年リリースの同名アルバムをベースに、65年前後に録音された楽曲を集めたケント/モダン時代の作品集。ハッキリ言って内容は抜群で、黒人音楽としてのダイナミズムはリバティ以降の作品よりこちらのほうが上かもしれない。スー時代の延長線上にある曲が目立つものの、この泥臭くヒップなR&Bこそ彼らの十八番なのだ。ブルース・マナーのスロウ・ナンバーもアイクならでは。
(林)

IKE & TINA TURNER 『Ike & Tina Turner Revue Live』 Kent/Pヴァイン(1964)
JBのレヴューと双璧を成したアイク&ティナ・ターナー・レヴュー。それを音盤化したなかでも圧倒的支持を得るのが、ホームタウンとも言うべきセントルイスでのライヴを収めた本作。ティナが登場するのはJB“Please Please Please”のカヴァーなど3曲だけだが、一座のシンガーが次々登場するステージは熱気ムンムン。ゴスペルやブルースも薫る真っ黒なレヴューだ。
(林)

IKE & TINA TURNER 『Festival Of Live Performance』 Kent/Pヴァイン(1967)
64年のライヴ盤に続く、ケントからは2作目となるライヴ・アルバム。こちらは全編をとおしてティナ・ターナーが荒いシャウトで歌いまくる。その啖呵を切るようなティナの歌いっぷりにただもう圧倒されるばかりで、アイクがグァングァンと鳴らすギターもかなりの迫力だ。オリジナル曲に加え、エタ・ジェイムズやJB、レイ・チャールズのカヴァーも披露。
(林)

IKE & TINA TURNER 『The Soul Anthology』 Master Classics 
68~69年に残した4枚のアルバムをほぼ丸ごと収めた2枚組アンソロジー。ポンペイ時代の音源を中心としたDisc-1は当時のソウル・マナーに則ったタイトな作りでアイクの制作手腕が窺える逸曲揃いだ。ブルース・レーベルのブルー・サム音源をまとめたDisc-2では、オーティス・レディングのカヴァー“I've Been Loving You Too Long”や妖しくもファンキーな“Bold Soul Sister”が光る。
(出嶌)


IKE TURNER 『A Black Man's Soul』 Pompeii/Funky Delicacies(1969)
このリイシュー・ジャケではバンド名義ながら、元はアイクのソロ作扱いだったファンキーなインスト・アルバム。ビリー・プレストンやバーナード・パーディを従えたグルーヴィーな演奏のヤバさは、バンド統率者としてのアイクの面目躍如といったところか。彼がJB流儀のファンキー・ソウルや後のニュー・ソウルをも包括したセンスの持ち主だったことを証明する逸品だ。
(出嶌)

IKE & TINA TURNER 『Nutbush City Limits/Feel Good』 United Artists 
ユナイテッド・アーティスツ時代の73/72年録音作を2in1で収めたCD。ティナのペンによる楽曲が増えてきていたこの頃の作品では、スライが始めたサイケ・ファンクに乗っかるような形で、新しい時代に向けて十八番のロッキンR&Bスタイルを鳴らしている。“River Deep, Mountain High”の再演などはその好例。ジミ・ヘンドリックス亡き後の黒人ギター・ロック快作とも言えるか。
(林)

THE IKETTES 『Soul The Hits』 Modern/Pヴァイン 
レイ・チャールズのコーラス隊だったレイレッツに倣ってアイクが面倒を見たのが、このアイケッツ。メンバーの変遷が複雑で謎の多い彼女たちだが、ヴェネッタ・フィールズがいたこのモダン時代の編集盤(65年の同名作にその前後の曲や別テイクを追加)では、ゴスペルっぽさを匂わせながら可憐かつディープに振る舞うグループ黄金期の歌が聴ける。当時のいわゆるガール・グループ然とした曲に加え、“Camel Walk”などアイク謹製のダンス・ナンバーも登場する名盤だ。
(林)