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第30回 ─ ならば、ナラダならダメなのか?

ESSENTIALS ナラダならではの名作たち

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2008/04/24   18:00
ソース
『bounce』 297号(2008/3/25)
テキスト
文/出嶌 孝次、林 剛

NARADA MICHAEL WALDEN 『Awakening』 Atlantic/Wounded Bird(1979)
前2作の不発から意図的に作ったとされる最初のヒット作。LPではA面がNY録音/B面がLA録音になっており、LAの甘いサンセット風情も良いが、パトリック・アダムスの助力も得たアーバンなNYサイドがちょっと素敵すぎる。同時期の某サルソウル曲にそっくりなスムース・ディスコ“Love Me Only”、メロウな“Give Your Love A Chance”などの粋なエスコート感はこの時代ナラではダ。
(出嶌)

NARADA MICHAEL WALDEN 『Victory』 Atlantic/Wounded Bird(1980)
上掲作の他にも、ナラダのソロ作にはTM・スティーヴンスらを起用した79年の『The Dance Of Life』など好盤が多いが、最近ようやくCD化されたこちらも充実した内容だ。ボブ・クリアマウンテンとの共同制作で、ホーン・セクションが派手に響くキャッチーなアーバン・ファンクは、まるで同時期のチェンジのよう。シンガーとしてもとりわけソウルフルな歌を聴かせる一枚である。
(林)


ANGELA BOFILL 『Something About You』 Arista(1981)
別掲のステイシー・ラティソウと同時期にナラダのサポートを受けていたアンジェラ・ボフィル。これはナラダとの初タッグ作で、GRP時代のフュージョン・マナーも残しつつ、表題曲のようなナラダらしいポップでシャープなナンバーを歌って新境地を開いた。キュートで情熱的なヴォーカルはラテンの血を引く彼女ならではか。スタイリスティックス曲のカヴァーも上出来だ。
(林)

SISTER SLEDGE 『All American Girls』 Cotillion/Wounded Bird(1981)
名門姉妹グループの5作目。シックのナイル・ロジャーズ&バーナード・エドワーズと組んで大ヒットを飛ばした後のアルバムだけに、プロデュースを任されたナラダも荷が重かったに違いないが、そこはシック流のサウンドを持ち込むことで上手く切り抜けた。実際に表題曲や“If You Really Want Me”などはまるでシック……だが、ナラダはそれをアップデートしてみせている。
(林)

STACY LATTISAW 『Sneakin' Out』 Cotillion/Collectables(1982)
後のシャニースやティファニー・エヴァンスにも繋がる少女シンガー仕事の雛型。ナラダはこのステイシーのほぼ全作品に関与しているが、本4作目では当時流行だったエレクトロ・ファンクを意識して、ティーンの弾ける歌心を好サポート。マライア・キャリー“Heartbreaker”でネタ使いされた“Attack Of The Name Game”もそのひとつだ。よりビートを立てた次作『Sixteen』も佳作。
(出嶌)

PATTI AUSTIN 『Patti Austin』 Qwest/Mosaic Contemporary(1984)
フュージョン路線からブラコン路線にシフトしたパティ・オースティンがクウェストから出した2作目で、ナラダはクインシー・ジョーンズらに交じってプロデュースで参加。プレストン・グラスやランディ・ジャクソン、アンジェラ・ボフィルらナラダ一派もバックアップしたポップ・ファンクな3曲は、昇り調子にあった時のナラダだけあって流石に勢いがある。パティも絶好調だ。
(林)

ARETHA FRANKLIN 『Who's Zoomin' Who?』 Arista/BMG JAPAN(1985)
ナラダは6曲を担当し、アレサのモダン化を進めつつ、彼女の多様な側面を引き出すべく奮闘。しなるドラミングに808の響きを合わせた表題曲でリズムに敏感なところをアピールする一方、クラレンス・クレモンズのサックスも晴れやかなジャンプ・ナンバー“Freeway Of Love”を大ヒットさせた。ナラダはこの後“I Knew You Were Waiting”で女王に久々の全米No.1を贈ることに。
(出嶌)


WHITNEY HOUSTON 『Whitney Houston』 Arista/BMG JAPAN(1985)
ナラダのキャリアにおけるターニング・ポイントとなった一枚と言っていいだろう。ホイットニー・ヒューストンの処女作に招集されたナラダは、1曲のみながら溌剌としたアップ“How Will I Know”をプロデュース。同曲の大ヒットをきっかけとして、彼女の次作を筆頭に仕事を激増させていく。ソウルフルであることとポップであることを両立させた、これぞナラダ・マジック!
(林)