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第85回 ─ KAIKOO meets REVOLUTION @横浜ZAIM 2008年4月26日(土)、27日(日)

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2008/05/08   14:00
更新
2008/06/10   19:00
テキスト
文/浅沼 優子、小野田 雄、ヤング係長、澤田 大輔

DJ BAKUがオーガナイズする都市型フェスティヴァル〈KAIKOO meets REVOLUTION〉が、4月26日・27日の二日間に渡って、横浜ZAIMを舞台に開催されました。インディペンデントな活動を展開している国内アーティストを中心に、80組以上の面子が出演した狂騒イヴェントの模様を、bounce.comでは時系列に沿ってレポートいたします!

4月26日(土)

13:15~
■group_inou @KING ROOM


  オープン間もない会場をフラフラと歩き回っていて、まず目と耳を奪われたのがgroup_inou。ブレイク・コアなビートを炸裂させながら暴れまくり、衝動的にマイク・スタンドをなぎ倒した直後に「僕ら暴力性をアピールしてるわけじゃないんで……。PAさんすいません」とやんわり謝罪。“COMING OUT”などのきらびやかな四つ打ちチューンで躍らせながらも、どこかやけっぱちで内向的なMCを撒き散らし、オーディエンスを圧倒する。ヒップホップの図太いグルーヴが注ぎ込まれた“BPA”で大きく盛り上げると、ラストはノイズを大量に放出してシャウト。エレクトロニックなダンス・ミュージックの中にナードなパンク気質を忍ばせたステージングは、初見のお客さんにも確かな衝撃を与えたはず。*澤田 

14:00~
■サイプレス上野とロベルト吉野 @KING ROOM

  続いて〈KING ROOM〉に登場したのは地元・横浜代表のサ上とロ吉。この日は、風邪で喉を痛めたらしい上野がA.K.I.スタイルのデス声MCで気炎を上げ、「ジョン・レノンから譲り受けた」と言い張るサングラス着用の吉野が、イマジン・スタイル(?)でターンテーブルを操る。1MC&1DJのポテンシャルを最大限に引き出した定石のセットで盛り上げる一方、針飛びにぶち切れた吉野がラップをかますなどの新機軸も次々と披露。初恋の狂気を描いた“クレイジーラヴ”と、ロウな和もの使いが歪んだ空気を醸し出す“素敵な仲間”の新曲2曲も飛び出した。締めは“ヨコハマジョーカー”“Bay Dream~フロム課外授業~”の地元レペゼン・チューン2連発で、満員のフロアを鮮やかにロック・オン。いやはや、さすがのお手並み! *澤田 

16:30~
■KENJI TAKIMI @BLACK EMPEROR Floor


  名古屋屈指のハードコア・パンク・バンド、NICE VIEWの嵐のようなライヴが過ぎ去った後、登場したのがDJの瀧見憲司だ。彼はまっさらなフロアに、シューゲイザーとプログレッシヴ・ハウスの融合を予見したチャプターハウスの“MESMERIZE”を浮かべるようにプレイ。そこから緩急を付けて、NYハウス・リヴァイヴァルを目論むDFA発の傑作ピアノ・ハウス、ユアン・マクリーン“HAPPY HOUSE”やリカルド・ヴィラロボスの“Enfants”、ゆらゆら帝国“できない”のリミックスなど、多種多様なトラックを繋ぎながら、1時間半の時間をかけて場のテンションを斜めな角度で上げていった。絨毯が吸音してしまったり、スピーカーが前面にしか配置されていないなど、音響的に不完全なフロアを、それでも巧みにコントロールする彼のプレイは相変わらずの鋭い切れ味であった。*小野田

17:30~
■二階堂和美 @QUEEN ROOM


  全体的にクラブ寄りの雰囲気&お客さんのなか、「アウェイ感強そうだなー」と思っている間にスタートした二階堂和美のライヴ。この日は渋谷毅との完全2人編成ということで音数少な目の静かな内容でありながら、彼女の濃厚っぷりがたっぷり味わえる嬉しいセットに。懸念していた通り、頭の2曲はなかなかオーディエンスにも火が付かなかったものの、3曲目“Lovers Rock”での歌い上げまくる様子を観て、徐々にフロアから歓声も上がるように。続く9拍子ブギー“いてもたってもいられないわ”では踊り出す観客が一気に増量。それにつられるようにニカさんのテンションもどんどん上がり、さらにそれを受けてフロアの温度が高くなる。ラスト・チューン“今日を問う Pt.2”に到達する頃には完全な独壇場。彼女が顔を歪めるほどに歓声が高まる状況を作り出しておりました。場のムードをきっちりとひっくり返す手腕を、その場にいた全員が味わったことでしょう。*ヤング

19:45~
■AL HACA @KING ROOM


  今回唯一の海外アクトとなったアル・ハカ。3月にリリースしたばかりのアルバム『Family Business』が素晴らしかっただけに、期待が高まる。登場したメンバーのシーとステレオタイプは、思っていた以上に年上! かなりのベテランなうえに、もともとはサウンドシステムをやっていたというから、現場も慣れたもの。(RQMではない、謎の)MCがオーディエンスを煽る中、アルバムの印象よりもだいぶアッパーな、アブストラクト・ダンスホールとでも言うべき新種のパーティー・サウンドを披露。極太なベース音で会場を揺さぶった。当然、アルバム収録の“Family Business DJ BAKU Remix”もプレイ。本人たちも一風変わった日本でのパーティーを存分に楽しんでいる様子だった。*浅沼

20:30~
■Mic Jack Production @KING ROOM

  ライヴに定評のあるMJP。この日はDJにKENとHALT、そしてMCはいつものLARGE IRON、JFK、INIという5人編成で登場。ダビーな効果音が鳴り響くなかを鼓動のようなビートが流れ出し、ミステリアスな雰囲気がフロアを包んだところで、3人のフリースタイルからショウが始まった。アルバム『Universal Truth』収録曲をタイトなメドレーで聴かせ、後半は最新シングル“Speed City”や“Alt. Native Music”といったダンサブルな曲でテンションを上げていく。彼らの提唱する〈Ill Dance Music〉 が十分に体感できる内容だった。さらにメランコリックな旋律が印象的な“Loop”なる新曲も披露。6月発売のEPに収録予定だそうで、そちらも楽しみだ。*浅沼

21:15~
■DJ BAKU @KING ROOM


  Mic Jack Productionから「このイベントのキーパーソン」と紹介されたDJ BAKUへのバトンタッチは、もちろん両者のコラボレーション曲“I Ain't Gangsta”で! この曲のイントロが聴こえるやいなや、すでにかなりの熱気と人口密度だったフロアが、さらに爆発的に加熱。そこから新作『Dharma Dance』収録曲を多数盛り込んだ、ロック色の濃いアグレッシヴなセットへ入っていく。レゲエやドラムンベースも織り交ぜたオリジナルなプレイでこれでもかと盛り上げるDJ BAKUに、客席ではダイヴする人まで出現! まるでハードコア・バンドのライヴのような様相だった。会場は入口の外までお客さんで埋め尽くされ、ハイライトと呼ぶに相応しい、貫禄のパフォーマンスで1日目の夜を締めくくった。*浅沼

▼文中に登場したアーティストの作品を紹介

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