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第88回 ─ LITE @タワーレコード渋谷店 2008年6月7日(土)

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2008/06/19   19:00
テキスト
文/土田 真弓

5月21日にニュー・アルバム『Phantasia』をリリースしたばかりのLITEが、タワーレコード渋谷店のインストア・ライヴに登場! 先日お伝えした楽屋裏レポに続いて、壮絶を極めた当日のステージングを詳細にレポートいたします!!

  バラバラと姿を現した4人は、「昼間からどうもありがとうございます」という挨拶もそこそこに、“Contra”へ突入。ドラム、ベース、ツイン・ギターが一体化したヘヴィーなリフが、巨大な音塊となってフロアに叩きつけられる。

 周囲の空気が瞬時に変貌する。観客が音に集中しているのがわかる。会場全体の緊張感が凝縮され、濃度を増しながら膨張してゆき――ステージ上の4人が一糸乱れぬユニゾンから解放された瞬間、勢いよく破裂する。我に返ったように、場内のあちこちから歓声が上がり、各々が肉感的なビートに体を委ね始める。

 続くはニュー・アルバムの冒頭を飾った“Ef”。破壊的なリズムと重厚なギター・リフを中心に、眼前でスリリングな音世界が構築されてゆく。

  「ここで演るの、2回目なんですよ。3年くらい前にタワレコのレーベルからCD出してて、それで1回演ったことがあって。その頃は(ライヴをやっても)お客さんが3人とか5人とかいう時期で、人がたくさん集まってるところでやるのが初めてだったから、すごい気合い入れて演ったんですよね。〈オラーッ!〉って。で、完璧にキマった!って思ってたんですけど、ライヴが終わってアンプを消してるときに、俺のすぐ前の女の子が〈意味わかんな~い〉って言ってて……マジかよ、と(笑)。でも今日は、意味わかる人たちがこんなに来てくれて……ありがとうございます(笑)」。

 ……と、MCで軽い笑いを取るのは、楽屋裏では寡黙であった(ように見えた)ギターの武田。控え目な佇まいながら、そのプレイにはただならぬ攻撃性が潜んでいる。

  楽屋では武田以上に寡黙であったのが、もう一方のギタリスト・楠本だ。その個性はステージ上でも貫かれている――かのように思えたが、すぐに撤回。感情が窺い知れない表情とは裏腹に、全身を大きく揺らめかせ、激情を音に憑依させているのがありありと伝わってくるそのプレイ・スタイルは、圧倒的な存在感を放つ。そんな彼が爪弾くメランコリックなアルペジオに導かれ、観客が足を踏み入れるのは“Solitude”。果てしない孤独は、エモーショナルな混沌を呼び寄せる。