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第89回 ─ チャットモンチー × スチャダラパー @Zepp Tokyo 2008年6月20日(金)

連載
ライヴ&イベントレポ 
公開
2008/06/26   18:00
更新
2008/06/26   19:27
テキスト
文/桑原 シロー

コンサート制作の老舗、HOT STUFF PROMOTIONの設立30周年記念イヴェント〈BLACK AND BLUE〉が、6月20日~22日に渡ってZepp Tokyoにて開催されました。20日はチャットモンチー × スチャダラパー、21日はPerfume × SPECIAL OTHERS、22日はYUKI × 銀杏BOYZという、超異色の対バン・ライヴが繰り広げられた3日間の模様を、bounce.comでは詳細にレポートいたします!

  目の前のスクリーンにはハル・アシュビーが撮った映画「Let's Spend The Night Together」が映っていて、客入れ音楽にローリング・ストーンズの“Fool To Cry”が流れている。そうだ、今回のイヴェント・タイトルは〈BLACK AND BLUE〉だったっけ、なんて思い出してたところに、先攻のスチャダラパーが行進してきた。ストーンズの曲に乗って登場、というのがなんだか新鮮だ。

 ロボ宙を交えた3MCで、軽妙だけどビターなナンバーが次々と繰り出されていく。“MORE FUN-KEY-WORD”“BD発言”“CHECK THE WORD”と続くにつれて徐々にフロアに並ぶ頭が左右に揺れ出し、会場は心地よいヴァイブに包まれていった。MCに入るといつものスチャダラ劇場が開幕。「よかったですよ~。お客のスジがいい!」と褒めたたえるBOSE。「なんだ今日の組み合わせは? 名前が似てるから?」「どちらも可愛い3人組。それをウリにここまできた(笑)」なんてBOSEとANIのやり取りに爆笑してるうち、会場全体はすっかりスチャ・ペースに。

  途中、SLY MONGOOSEのベーシストであり、THE HELLO WORKSのメンバーでもある笹沼位吉が呼び出されてグルーヴィーなベース・プレイで場を沸かせる。また絶妙なタイミングで新曲“ライツカメラアクション”を披露してメロウなムードを醸し出したりと、ステージ展開の巧みさはさすがデビュー18年のヴェテランといったところ。

 終盤には「そろそろ知ってる曲をやります。“DA.YO.NE.”じゃないほう」という前置きで“今夜はブギーバック”へと突入し、言うまでもなく、大賑わいに。巧い、巧すぎる。サービス精神たっぷりのパフォーマンスの連続に、チャットモンチーのファンも熱~いレスポンスをステージに投げ返していた(男性の観客から「スチャダラ~」と野太い声援が飛んでいたのも愉快だった)。

  そういえばスチャの登場の仕方はグレイシー・トレインふうだったが、後攻のチャットモンチーもストーンズ・ナンバーに乗って、おんなじスタイルで入場。でもって、ラッパーっぽくファンキーなポーズをピタッとキメた3人。画になる。しかしなんでこんなにもピュアで美しい構図が出来上がるんだろう?と彼女たちのパフォーマンスを眺めながらぼんやりと考えてしまう。こんなロック……まぁどんなロックかちゃんとうまくは説明できないんだけど、マジどこにもねえぞ。

  キュートなペイントを施した破壊力抜群の爆弾。この日の炸裂具合もきれいな画を描いていた。オープニングの“Make up! Make Up!”からエンディングの“親知らず”まで、突進するときも、もたつくときもピッタリと呼吸が合うという希有なアンサンブルを披露する彼女たち。なにやら神秘すら感じさせる演奏の数々に、身体を揺らすのを忘れてとにかく見入ってしまう。それにしてもガリガリと掻きむしるようなストロークで雄弁な物語を語る絵莉子のギターが素晴らしい。名曲“恋愛スピリッツ”で放たれる熱情的なフィードバックを聴きながら、ジミヘンさん、あんたのスピリットはここに継承されてるよ、と心のなかで呟きつつ思わず空(天井)を見上げてしまう。セットリストは、新曲“風吹けば恋”を交えた〈チャットモンチー・ゴールデン・ヒッツ〉的な趣。会場は終始、興奮の嵐が吹き荒れていた。

  アンコールの声に促されて、チャットモンチーの3人が戻ってくる。キラキラとミラーボールが回りだしてお祭りナンバー“シャングリラ”がスタートした。あるかな?と予想はしていたが、そこにスチャの3人が合流。チャットの演奏に乗せて、彼らの曲“ジャカジャ~ン”を挟み込んでみせる。これが見事にズッパまり。可愛いアニキと可愛い妹たちの超親密なコラボが実現。即席ユニットのネーミング〈スチャットモンチー〉ってのもハマってましたねぇ。このように2トリオによる異色の対バン・ライヴは、大いに盛り上がりを見せたのである。

BLACK AND BLUE セットリスト

スチャダラパー
1.MORE FUN-KEY-WORD
2.BD発言
3.CHECK THE WORD
4.荒野ウォーカー
5.アーバン文法
6.トリプルショット
7.ワークフロウ
8.ライツカメラアクション
9.4ch FUNK
10.FUN-KEY-PERSONALITY
11.Defenseless City
12.今夜はブギー・バック
13.アニソロ
14.FUN-KEY4-1
15.DISCO SYSTEM
16.Good Old Future

チャットモンチー 
1.Make up! Make Up!
2.恋の煙
3.プラズマ
4.風吹けば恋
5.three sheep
6.バスロマンス
7.惚たる蛍
8.真夜中遊園地
9.どなる、電話、どしゃぶり
10.恋愛スピリッツ
11.ヒラヒラヒラク秘密ノ扉
12.親知らず
―アンコール―
13.シャングリラ with スチャダラパー

▼スチャダラパーとチャットモンチーの作品