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第36回 ─ 悲しいへだたり

もはやスタンダード化したノーマンの音楽

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2008/11/20   05:00
更新
2008/11/20   17:45
ソース
『bounce』 304号(2008/10/25)
テキスト
文/出嶌 孝次

 多くのモータウン・ソングはノスタルジックな意味合いで取り上げられることも多いが、リリースから数年でアル・グリーンがテンプスの“I Can't Get Next To You”を歌っていたり、ローリング・ストーンズが“Just My Imagination(Running Away With Me)”をやったり、ノーマンの曲には独特のタイムレス感がある。もちろんマーヴィン・ゲイをテイラー・ヒックスが歌ったような懐古的な例もあるが、一方では“War”をブルース・スプリングスティーンが歌うなど、職業作家らしからぬ社会派な作風も後の世代を惹き付けたのだろう。また、アーバン方面ではローズ・ロイスの人気が高く、フェイス・エヴァンスによる“Love Don't Live Here Anymore”やメアリーJ・ブライジによる“I'm Going Down”は、もう元を知らない人も多いのかも。さらに、その後者を名曲“Oh Boy”で用いたキャムロン、“Wishing On A Star”(ビヨンセもカヴァー)をリメイクしたジェイ・Z、テンプスをネタ使いしたアンクルなど、ネタ使用例も数多い。かと思えば、“Car Wash”をアギレラ&ミッシーが再演していたり、ジム・クラス・ヒーローズが新作中で“Papa Was A Rollin' Stone”を口ずさんでいたり……ノーマンの曲はもはやスタンダードなのだ。