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第15回 ─ 俺に歌わせて! カヴァーしたい音楽たち

連載
曽 我 部 恵 一、 POP職 人 へ の 道
公開
2008/11/20   17:00
更新
2008/11/20   18:47
テキスト
文/bounce.com編集部

 ご存知〈キング・オブ・メロウロック〉こと曽我部恵一のマンスリー連載! ご自身のお店〈City Country City〉でも素敵な〈手描きPOP〉を作っている曽我部氏が、タワーレコードのPOPを担当。独自のテーマでCD/DVD/書籍をチョイスし、その作品のPOP作りに挑みます。完成したPOPとセレクション・アイテムは、タワーレコード新宿店の〈曽我部コーナー〉にて展開……というWEB&店舗の連動企画! さて今月のセレクション・テーマは〈俺に歌わせて! カヴァーしたい音楽たち〉です。

  12月よりスタートするソロ・アコースティック・ツアーの会場にて、カヴァー・アルバム『SINGS』を販売する(一般流通はないそうです。残念!)という曽我部さん。今回は、カヴァーしたい/実際にライヴでカヴァーしている楽曲を選んでいただきました!

曽我部「カヴァー曲を選ぶ基準? 基本的には、パッと思いついた曲を歌ってみるくらいの感じかな。単に好きなだけの曲を選ぶこともあるし。俺の場合、カヴァーって、きっちり歌い過ぎるとバランスが悪くて。何気なく歌っちゃったものの方が良いんですよ。〈あの曲、こんなコードだったよなあ〉って思いながら歌ってるくらいが、自分のカヴァーに対する態度。自分のものにして歌わなきゃいけないって感覚もあまりないし、かといって、あくまで人の曲を歌ってるって感覚でもない。単に、好きな曲をポロンと歌ってるっていうレヴェルにしたい。曽我部バンドでは(カヴァーは)やらないっすね。そういう発想がないかな。バンドで曲を作っていくこと自体が、ある意味カヴァーみたいなものなんだよね。〈このリフ、もらってこよう〉とか〈このリズム・パターンでやろうよ〉とか言いながら作っていくわけで。カヴァーを寄せ集めて自分たちのオリジナルを作る、みたいなところがある。だから、ことさらカヴァーしようとは思わないのかもしれない」。

THE MISFITS『COLLECTION II』収録“Last Caress”

曽我部「ミスフィッツは本当に好きなバンド。彼らの曲を弾き語りでカヴァーするっていう試みは、あまりないかもしれない。でもラモーンズと同様でメロディーがいいから、弾き語りでもばっちり成立する。イメージ的にはパンクなバンドだけど、50年代のロックンロールが下敷きになってるバンドだから。特徴的なのはグレン・ダンジグのヴォーカル。エルヴィス・プレスリーみたいに歌い上げる。それがパンク・ロックのなかでやられてるっていうのが珍しかったし、衝撃だった。“Last Caress”って曲はメタリカもカヴァーしてる名曲」。

ジャックス『ジャックスの世界』収録“時計をとめて”

曽我部「ジャックスはロックを聴き始めた頃に衝撃を受けたバンド。僕が選んだ“時計をとめて”は早川(義夫)さんの曲ではないんだけど。ジャックスはいまもたまに聴きますね。バイブル。アルバムというもので、ものすごい世界観を作り出しているものっていくつかあるけど、そういう作品ですね。このアルバムって早川さんが1曲1曲の解説を書いてるんですよ。で、この曲については、〈水橋くん(ギター)が結婚するお姉さんに向けて歌った曲〉みたいに書いていて、それもすっごい良いなあと思って。これは前からライヴでたまに歌ってますね。ジャックスだと“サルビアの花”もカヴァーしてた」。

JOHN LENNON『John Lennon/Plastic Ono Band(ジョンの魂)』収録“Love”

曽我部「〈ジョンの魂〉は、“Love”をカヴァーしてるし、“Mother”もカヴァーしたことがある。ジョンは情景を描写するんじゃなくて、物事の本質を歌おうとするよね。シンプルで良い曲が詰まった、素晴らしいアルバムだと思いますね。一部の隙もない完璧なレコード。ただ、正直、ジョンのほかのアルバムは興味が持てないんだよね。良い曲はどのアルバムにも入ってるんだけど、アルバムとして作っていくことに向いてない人なのかもしれない。〈ジョンの魂〉も、フィル・スペクターがいなかったら、どうなってたかわかんない」。

OZZY OSBOURNE『Blizzard Of Ozz』収録“Goodbye To Romance”

曽我部「オジーは大好きなんですよ。ブラック・サバス時代から全部好き。あの声が透明感があってすごくいい。ソロになってからはポップだし、このファーストが一番好きかな。透明感があるいい曲が多いし。服装があれだから惑わされるかもしれないけど。ギターのランディー・ローズが若くして亡くなったスターなんですけど、彼のギターは本当に良くって、緻密に計算されたきれいなギター・ワークなんですよ。この“Good Bye To Romance”って曲が、カヴァー・アルバム作ろうって思ったときにまず浮かんだ曲ですね。今度の弾き語りツアーでやろうと思ってる」。

大滝詠一『大滝詠一』収録“それはぼくぢゃないよ”

曽我部「“それはぼくぢゃないよ”は、サニーデイの初期時代からカヴァーしてたし、弾き語りの時は必ずやってたくらいの曲ですね。他にも、“指切り”もカヴァーしてたし、本当にこれは好きなアルバム。好きだから歌いたいなって感じ。パッとギターで弾き語りできそうなイメージが浮かぶ曲だと歌いたくなるんだよね。難しそうなものに挑戦したくなる人もいるんだろうけど、僕の場合は違うかな」。

ガロ『スーパーベスト』収録“学生街の喫茶店”

曽我部「ガロの“学生街の喫茶店”は、俺の生まれた直後くらいに大ヒットしていて、自分にとっての原風景的な曲なんですよね。聴くと、70年代~って感じがすごくする。で、かなり簡単な曲なんで、自分でもやっちゃおうと。ライヴでもたまに歌ってますよ。ただ、これも録ってはみたんだけど、アルバムには入れないかな」。

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