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第20回 ─ 新装スタート! キング・クリムゾンとベン・ワットをレコメンド

連載
曽 我 部 恵 一、 POP職 人 へ の 道
公開
2009/04/16   13:00
更新
2009/05/20   13:36
テキスト
文/bounce.com編集部

 曽我部恵一が〈手書きPOP〉に挑むマンスリー連載が、今月よりプチ・リニューアル! これまでの〈お題目制度〉を撤廃し、曽我部氏がいま現在気に入っている作品をストレートにレコメンド。ROSE RECORDSの最新リリース作品と合わせて、ご紹介します。完成したPOPとセレクション・アイテムは、タワーレコード新宿店の〈曽我部コーナー〉にて引き続き展開しますよ!

曽我部「最近は……まずソカバンのニュー・アルバムが完成しました。今回は、ホントに時間がかかった。去年の夏からやってたからねえ。それから、(鈴木)慶一さんのアルバムも作っていて、そっちは、めちゃめちゃコンセプト・アルバム。いまどきこんなのないだろうってくらいの、ロック・オペラ的な(笑)。それくらいやり切っちゃった方がおもしろいでしょ? あと、今度エリック・サティ“Gymnopedie”のカヴァーの12インチを出すんですよ。ブレイクを組むとこからマスタリングから、全部ひとりでやって、サクッと二晩くらいで作った。これはもう、自分で聴きたいがための、完全に趣味のレコード(笑)。ソカバンとかは〈表現〉なんで、自分で聴かないから。その日に買ったレコードから取ったブレイクビーツを使ってるんだけど、そういう、毎日レコードを買ってる記録としての作品を、今後は残しておこうかなあと。歌は乗せないで。発表するかしないかは別としてね」。

◆今月の曽我部セレクション

KING CRIMSON 『In The Court Of The Crimson King』

曽我部「これは、おじさんはみんな聴いてると思うんだけど、若い子は全然聴いてないんじゃない? 中学くらいのときに、〈ロック名盤百選〉みたいので見て、ちょっと聴いてみてパスするアルバムというか。僕も前から持ってはいたんだけど、全然聴いてなくて。売る前にもう1回聴いてみようと思って……そしたら良かった(笑)。哀愁があってメロウで、フォーキーな曲もあって。タイトル曲は、ディープなディスコ・クラシックだったりもするんだよね。いわゆるコズミック以降に、一部のプログレがダンス・ミュージックとして聴かれるようになったけど、キング・クリムゾンもそのなかに入れていいんじゃないかなあ。ロバート・フリップの『Let The Power Fall』ってソロ・アルバムも買ってみたんだけど、そっちも凄く良かった。とりあえず、このジャケを飾っておきたいよね(笑)」。

BEN WATT 『North Marine Drive』

曽我部「最近、また自分的に波が来てる一枚。このアルバムはホントに好きで。この空気感を超えるものはないですね。一生聴くだろうなあ。これと、トレイシー・ソーンの『Distant Shore』は、二大・青春のレコード。でも、二人がエヴリシング・バット・ザ・ガールを始めると、途端にこの空気感はなくなっちゃうんだよね、不思議なことに。この、なんでもない若者の日記感……ホント、こういうのが作りたい。僕のなかでは、すべてが完璧なレコード」。

◆今月のROSE RECORDS

豊田道倫 『ギター』

曽我部「豊田君の音楽は昔から大好きで、今回はROSEから出すことになりました。アコギと歌だけで、かなりじっくりと弾き語りに取り組んだアルバム。プロデュースしたんだけど、僕がやったのは、録音とエンジニアリングと、〈これ、いいんじゃない?〉みたいなジャッジ。豊田君は、生活についての歌が多いんだけど、今回は、特に家族について、奥さんや子供について歌っている。人生のサウンドトラックになり得るような言葉と歌で、ホント素晴らしい。豊田君はほぼ同世代で、昔からお互いのことを知ってるから、話が早かったね。豊田君の作品のなかでも、凄く優しくてメロウなアルバム。ぜひ万人に聴いて欲しいですね」。

中村ジョー 『Sweet Heat』

曽我部「ジョー君はハッピーズ時代からずっと知っていて、旧友というか。ファーストもROSEから出していて、今回が2枚目ですね。ROSEの作品には、僕がなんらかのかたちで関わることが多いんだけど、これは全然タッチしなかった。ジョー君の歌は、捉えどころがなくて凄く不思議な感じなんだよね。うまく語れないというか。ブルーズっぽい歌い方もしているし、渋いんだけど、サウンドは凄くポップ。そこが変わっていて、おもしろいと思うな」。

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