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Aira Mitsuki

連載
360°
公開
2010/06/22   13:56
更新
2010/06/22   13:56
ソース
bounce 321号 (2010年5月25日発行)
テキスト
インタヴュー・文/出嶌孝次

 

Aira Mitsukiの〈2nd Season〉に熱い胸さわぎ

 

AiraMitsuki_A

 

〈2nd Season〉とは何か? 昨年の力作『PLASTIC』から11か月ぶりに登場する新作『6 FORCE』でAira Mitsukiが掲げたのは〈2nd Season〉の到来。その11か月を「いろいろな意味で充電期間になった」と振り返る彼女に話を訊きました。

「『PLASTIC』までは精神的な部分で辛い局面に何度もぶつかってたんですけど、いまはそれを越えたので……〈1st Season〉は〈エヴァ〉でいうと〈序〉の段階でしたね。〈2nd Season〉ではAiraが使徒になるっていう(笑)」。

このように〈1st Season〉を総括する(?)彼女ですが、今回の話題はSawagiとのコラボによる3曲でしょう。彼らは初作『hi hop』を昨年リリースしたインスト・バンドで、エッジーかつ雑食的な作風が高い評価を受けている4人組。このフレッシュな手合わせは新しいシーズンに相応しい新味だと言えましょう。

「作品を聴いて好きになって、PVを観て〈おもしろいことやってるなー〉と思ってDJで“ibiza”をかけたのがきっかけだと思います。で、新作を2枚組にしたいっていう話がTerukadoさんから出てきた時に、Airaも気に入ってるSawagiに片方の1枚を任せようということになりました。流石にフル・アルバム2枚組というのは現実的じゃなかったので、ミニ・アルバム感覚のシングル2枚組にして」。

制作にあたっては「Terukadoさんとは3年やっているから良い意味で〈慣れ〉があって、レコーディングも早いんですが、外部プロデューサーは探り合いの部分もあるから新鮮ですよね」と語るAira。制作やライヴを通じて大いに刺激を受けたそうですが、そんなSawagiの音の魅力は「一辺倒じゃないところ」なのだとか。

「楽曲がいろんな顔を持っているのは、きっとバンドっていう強さもあるからだろうし、4人それぞれのルーツが違ったり、聴く音楽が幅広かったりするからなんだろうな、と話してて思いましたね」。

その成果は、アイラップ(?)にエッジーな突貫ビートが衝突する“FAKE”、ストレートな歌謡性の高さが快い“LEVEL5”、「ヴォーカルをニューウェイヴっぽく」意識したという“TURKEY”の3曲。いずれも『hi hop』で披露されていたのとはまた異なる感じで、今回のシンクロは双方にとって大きなチャレンジだったようです。

「そうかもしれないです。いままでのAira Mitsukiをぶち壊してくださいと言われていたみたいで(笑)。もっとロック・テイストのものやバラードっぽいのもAira Mitsukiでやってみたいと思ってたという話もしていたので、また組めたらいいなと思います」。

一方のTerukadoも3曲(ボーナス・トラックを除く)を担当していて、こちらも選りすぐられたトラックという印象を受けます。Sawagiの仕事ぶりに触発されたのか、Terukadoの作風にもバウンシーでファンキーなニュアンスが強まっているのが格好良い! Aira自身が「過去の全楽曲のなかでいちばん好き」だという“Wonder touch”のように、いつになく衒いのないキャッチーさがストレートに追求されているのですよ。

「もともと私はこういうお洒落で聴き飽きないようなサウンドが好きなので、制作中にそういう話はしました。Airaの楽曲ではいままでになくお洒落だと思います。黒いのは、もともとTerukadoさんが好きですからねー」。

従来よりもディスコ~ファンク寄りのシンプルなサウンドに変貌した結果、いままでは「楽曲のなかで煮詰めて濃くしていくようにしていた」という声の使い方も自然に変化。数年前まで顔を出さなかった人とは思えない、ナチュラルな美しさを素直に見せたノー・ギミック(なのがギミック?)なヴィジュアル展開も同様。つまり、〈2nd Season〉のテーマは、より素の表情が表に出てくるということでは……と思ったら、「それは楽しみにしていてください(笑)!!」ですって。先の読めない魅力はまだまだ健在のよう、です。

 

▼Aira Mitsukiのアルバムを紹介。

左から、2008年作『COPY』、2009年作『PLASTIC』(共にD-topia)

 

▼Sawagiおよびメンバーの参加した近作を一部紹介。

左から、Lion's ROCKの2008年作『NO'17』(Da.Me.Records)、2009年のコンピ『The Best of jazzin' for Ghibli』(more music)、2009年のコンピ『colla disc presents LOST TREASURES 2000-2009』(colla)

 

▼関連盤を紹介。

Terukadoがプロデュースした、Saori@destinyの2010年作『WORLD WILD 2010』(D-topia)