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北の国から2010

連載
NEW OPUSコラム
公開
2010/08/11   16:37
更新
2010/08/11   16:38
ソース
bounce 323号 (2010年7月25日発行)
テキスト
文/岡部徳枝

 

伝統を重んじながら、モダンで革新的な音楽を作り上げる北の2組が新作をリリース!

 

カラフト・アイヌの伝統弦楽器、トンコリの奏者・OKI率いるOKI DUB AINU BANDが4年ぶりのアルバム『SAKHALIN ROCK』を完成させた。制作中にトンコリの故郷=サハリンを訪れ、そこで見い出した〈答え〉を提示したという本作は、まるであらゆる概念を叩き壊した末に、自身が信じるものだけを摘み取ったかのような強い意志を持った音で埋め尽くされている。アイヌの歌をレゲエで解釈した“TOPITARI”も、サハリンの浜辺で一人トンコリを弾いた“PORONAYSK -23°”も、パンデイロ奏者であるマルコス・スザーノとのブラジル録音曲“TONKORI MONIMAHPO”も、誰にも真似できない衝撃的な境地。大傑作だ。

また、OKIと共に海外公演を行っていたアイヌの伝承歌〈ウポポ〉の再生と伝承をテーマに活動する女性4人組=MAREWREW(マレウレウ)も、待望のミニ・アルバム『MAREWREW』を発表。神秘的な旋律が重なり合うアイヌ独特の輪唱〈ウコウク〉をとくと堪能できる内容になった。脳内をグルグルと回るような4人の声、押し寄せる歌のグルーヴにトランス状態。人間の声の奥深さ、プリミティヴな音楽の醍醐味を突き付けられる。素晴らしい!

 

▼文中に登場した作品を紹介。

左から、OKI DUB AINU BANDのニュー・アルバム『SAKHALIN ROCK』、MAREWREWのニュー・ミニ・アルバム『MAREWREW』(共にチカルスタジオ)