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HAIR METAL

II それでは実際に聴いてみよう!――(2)

連載
Di(s)ctionary
公開
2010/09/28   19:21
更新
2010/09/28   19:22
ソース
bounce 324号 (2010年8月25日発行)
テキスト
ディスクガイド/増田勇一

 

DAVID LEE ROTH 『Eat 'Em And Smile』 Warner Bros.(1986)

ヴァン・ヘイレンを離脱した稀代のエンターテイナーが実践したのは、超絶美技と派手なステージングを両立可能なスーパー・バンドを組むことでした。アルバム・カヴァーが象徴するように、すべてが濃すぎるMTV対応型の一枚と言えます。

POISON 『Look What The Cat Dragged In』 Capitol(1987)

〈下手なバンド〉の代名詞のように言われていた4人組のデビュー作。とはいえ、彼らが成功を手にしたのは時代的な要因のみならず、曲が良く、人一倍の向上欲求があったからこそ。ま、当時の演奏ぶりは本当に褒められたものではありませんが。

L.A.GUNS 『L.A.Guns』 Polydor(1988)

ガンズ・アンド・ローゼズの創始者の一人であるトレイシー・ガンズ率いる5人組の1作目。GN'Rの場合、イメージ的にヘア・メタルと形容可能だったのは初期のみですが、〈ハリウッドの吸血鬼〉との異名を取る彼らには、ずっとこの呼称がお似合い。

WINGER 『Winger』 Atlantic(1988)

高い演奏技術を誇り、音楽的にはプログレに片足を突っ込んでいたりもするNY発のバンドですが、デビュー当時のウリはあきらかに〈新たなセックス・シンボル、キップ・ウィンガー〉でした。素敵なヘアカットと白い歯。しかし音はそれ以上に眩かったのです。

WARRANT 『Cherry Pie』 Columbia(1990)

当初はポイズンと同様に〈アイドル・バンド〉として、本格志向を自認する人たちに軽視されていた5人組。しかし、70sロックからの影響を吸収しながらパロディー精神を交えつつ高次元に再構築するジェイニー・レイン(ヴォーカル)の才能には、特筆すべきものがあります。

VIXEN 『Rev It Up』 Capitol(1990)

ヘア・メタルを体現するうえで実は好都合なのが女性たち。この見目麗しく演奏技術もある4人組の登場はまさに目からウロコの事件でした。が、いかんせん線が細く、〈屈強な男たちが着飾る〉というギャップもまたこのヘア・メタルの魅力であることが皮肉にも証明されたのです。