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R.TROUTMAN

連載
NEW OPUSコラム
公開
2010/10/07   20:41
更新
2010/10/07   20:41
ソース
bounce 325号 (2010年9月25日発行)
テキスト
文/林 剛

 

ザップ・マナーを受け継ぎながらゴスペルを歌う、ロジャー直系のトークボクサー

 

ロジャー死してもトークボックスのグルーヴは死なず。ザップ/ロジャーのサウンドとスピリットをもっとも忠実に受け継いだロジャーの甥、R・トラウトマンことルーファス・トラウトマン3世の、昨年8年ぶりに発表したセカンド・アルバム『All Things Are Possible』がついに日本盤化された。

ロジャー及びラリーへの追悼の意が込められた2001年の前作『No Compromise』(今回2度目のリイシューが決定)も好盤だったが、今作もゴスペルがベースながら気分はザッピーな快作。シャーリー・マードックが魂を込めて歌い上げるスロウ“It's Over”などはザップ・ファン悶絶だろうし、ブラックストリートの曲を意識したと思しき“Shake The Haters Off”のように、R&B〜ヒップホップにおけるトークボックス使いへの回答的なプレイも痛快このうえない。Gファンク・スタイルのスムースなダンサーからクワイエット・ストーム・マナーで神を称えたバラードまで、さまざまなサウンドを呑み込む懐の深さはまさにザップ譲り。天国にいる叔父/伯父たちが舞い降りてきたかのようだ。ロジャー直伝のチューブの鳴りはひと味違う。必聴。

 

▼文中に登場した作品を紹介。

左から、このたび日本盤化されたR・トラウトマンの2009年作『All Things Are Possible』、このたびリイシューされたR・トラウトマンの2001年作『No Compromise』(共にRTM/Pヴァイン)