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ARM STRONG 『STRONG WORLD』

連載
SPOTLIGHT!
公開
2010/11/15   19:37
更新
2010/11/15   19:38
ソース
bounce 326号 (2010年10月25日発行)
テキスト
文/二木 崇

 

大注目のレゲエDJが、ついに初のフル・アルバムを発表! スケールの大きな作品が完成したぞ!

 

数々の勇者を輩出し続けている大阪有数のメッカ=泉州出身のARM STRONG。〈ヴァイブス満タン〉という言葉がこれ以上なくよく似合う馬鹿デカい声と、お客を楽しませ、レゲエのおもしろさを伝えてナンボのサーヴィス精神で、若手きっての現場テイナーとして2001年からグングン頭角を現してきた〈豪腕〉だ。さらに、いかなる場所でも〈絶好調ならヤーマンだ!〉〈始まりの合図打ち鳴らせ!〉など数々のパンチラインをオーディエンスに合唱させる求心力を持つことでも知られる。そんな彼は多くのコンピに参加しながら、2007年に初のミニ・アルバム『STRONG VIBES』をリリースし、直後に西日本最大の野外レゲエ・フェス〈HIGHEST MOUNTAIN〉のステージに初登場。そして2008年にはBOOGIE MANとVADERのラガラボMUSIQに合流して、2009年6月にそのアルバムを発表しており、以降もユニットとソロの双方で活躍中なのはご存知の人も多いかと(ダブのオーダーも多く、BURN DOWNなどのサウンド主導コンピに欠かせない彼は、最近でもBIG BEARやPETER MANなどのアルバムにも参加している)。

無尽蔵ではないかとさえ感じられる持ちネタを、臨機応変に繰り出す電光石火のマイク捌き——そのラバダブでの、舞台と客のコントロールぶりでも有名な、まさに右肩上がりで〈舌好調〉の彼が満を持して放つ待望のニュー・アルバム『STRONG WORLD』は、スキット込みの全19曲という過去最大級のヴォリュームとなった。ラガラボMUSIQの基地があるARUZ STUDIOの棟梁=ZURAをはじめとする大阪の敏腕トラックメイカーたちが腕を振るい、そこにダンスホール・アンセムやお上に物申すナンバー、DJビジネスを語ったシリアス・チューン、笑えるスラックネス(下ネタ)など幅広いトピックが散りばめられた、スケールの大きさを感じさせる内容。熱い男・ARM STRONGならではのヒューマニズムが感じられる大作だ。ジョグリンからミディアムまで攻め方は違っても、リスナーの耳元にグイッと迫るやり口はやはり髄一。人気コンピ『RIDDIM ISLAND』が初出となる“FIRE MAN”やラガラボMUSIQ名義の“DANCE HALL INNA ACTION”などのビッグ・チューンを搭載し、TAKAFINやKENTY GROSS、MAXIM SAW、NATURAL WEAPONらとのコンビ曲も用意されたこのアルバムに通底するのは、〈ストロング・スタイル〉という彼の揺るぎないアティテュードである。その怒涛の攻撃……いや口撃には、〈腕上げましたなぁ~!〉と大木こだま師匠のようにダミ声で唸るしかない、のであった。

 

▼関連盤を紹介。

左から、ARM STRONGの2007年のミニ・アルバム『STRONG VIBES』(BLAZING DOG)、ラガラボMUSIQの2009年作『I AM RAGGAMUFFIN』(ビクター)

 

▼ARM STRONGが参加した作品を一部紹介。

左から、2009年のコンピ『RIDDIM ISLAND』(KOYASHI)、PETER MANの2010年作『DON'T GIVE UP』(ポニーキャニオン)、BIG BEARの2010年作『RAGGASTAR』(SCORPION)