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第50回――シスターズ・ラヴ・シスターズ

ESSENTIALS――時代を彩った名盤たち

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2010/11/26   13:29
更新
2010/11/26   13:29
ソース
bounce 326号 (2010年10月25日発行)
テキスト
ディスクガイド/林 剛

 

SISTERS LOVE 『With Love』 Reel Music

ついに陽の目を見たモーウェスト原盤となる72年の未発表アルバム。制作はウィリー・ハッチ、ハル・デイヴィス、グロリア・ジョーンズらで、ボビー・ウォマック“Communication”のカヴァーを筆頭に、泥臭くファンキーな曲をパワフルに歌い倒す。既発の“Give Me Your Love”など本編には収録されない予定だった5曲の追加音源も強力。スタックスからラヴコールを受けていたという話にも納得だ。

LABELLE 『Pressure Cookin'』 RCA/Reel Music(1973)

教会をルーツに持ち、ファンキーでサイケな曲をパワフルに歌い倒すということでは、パティ・ラベルを中心としたこの3人組も同様だろう。先頃CD化された本作では、ギル・スコット・へロン“The Revolution Will Not Be Televised”のカヴァーも含めて、ニュー・ソウルとファンクの巧みなブレンドが光る。スティーヴィー・ワンダー作の“Open Up Your Heart”はシスターズ・ラヴ風か。

THE POINTER SISTERS 『Steppin'』 Blue Thumb/Hip-O Select(1975)

ゴスペルから出発し、ジャズやロックを呑み込んでポップなソウルを聴かせたポインター姉妹もシスターズ・ラヴと共通点が多い。これは、スティーヴィー・ワンダーやワー・ワー・ワトソンといったモータウン関係者やヘッドハンターズ一派が快音を放った4作目。ファンキーでボトムの太いバックに姉妹のプリミティヴな歌が乗る“How Long”を聴けば、この時代の女性グループがめざした方向性がよくわかる。

SYREETA 『Syreeta』 Mowest(1972)

シスターズ・ラヴらと同時期にモーウェストに籍を置いていたシリータが、当時結婚していたスティーヴィー・ワンダーと作った処女アルバム。彼女らしいキュートな歌声が響き渡る作りだが、スティーヴィー自身のヴァージョンでもお馴染みのクラヴィネット炸裂曲“I Love Every Little Thing About You”をはじめとする各種シンセを巧みに使ったポップで実験的なサウンドは、実はかなりアグレッシヴだ。

GLORIA JONES 『Share My Love』 Motown/Reel Music(1973)

モータウンのスタッフとしてパム・ソウヤーと共に数多くの名曲を生み出した女流シンガー・ソングライター。シスターズ・ラヴの“You've Got My Mind”も彼女(たち)のペンによるものだが、自身がモータウンから出したこのアルバムも〈ひとりシスターズ・ラヴ〉的な、ゴスペル・ルーツを露わにしたファンキーでアーシーな内容だった。この年、T・レックスのマーク・ボランと出会い、恋に落ちている。

HONEY CONE 『Love, Peace And Soul』 Hot Wax(1972)

もしかしたらモータウンは、宿敵のホット・ワックスにいた彼女たちの対抗馬としてシスターズ・ラヴを送り出したのではないか? 激しくパンチの効いたリードに勢いのあるサウンド、そしてウーマン・リブ的な主張を込めたリリック。これは同社での最終作だが、シスターズ・ラヴが参考にしたであろう要素も聴いて取れる。メンバーにレイレッツやアイケッツの出身者がいたことも、その思いを強くさせる部分だ。

MERRY CLAYTON 『Merry Clayton』 Ode/ビデオアーツ(1971)

シスターズ・ラヴの初代メンバーだった歌姫。グループがA&Mと契約したことを受けて、リードの座を奪えずグループを脱退した彼女を、当時A&Mの傘下にあったオードが受け入れたのだそうだ。これは同社でのソロ2作目で、ロックやソウル曲のカヴァーを持ち前のゴスペリッシュな歌声で歌い倒す。シスターズ・ラヴ曲でも印象的だったデヴィッドT・ウォーカーのメロウなギターがここでも活躍!

VERMETTYA ROYSTER 『On The Half Shell』 Indys(2009)

シスターズ・ラヴのリードを務めた看板シンガーが、昨年突如発表した初ソロ。大半がグループ時代の曲をセルフ・リメイクしたもので、あのディープでハスキーな歌声はいまも健在だった。グラディス・ナイト&ザ・ピップスの“Midnight Train To Georgia”や(スライ作の)リトル・シスター“You're The One”を歌っているのも、彼女の声やシスターズ・ラヴのファンキーな音楽性を考えれば納得がいく。

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