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EL DEBARGE

連載
NEW OPUSコラム
公開
2011/02/21   17:36
更新
2011/02/21   17:36
ソース
bounce 328号 (2010年12月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次

 

16年ぶりの奇跡が到着!

 

去る6月のBETアウォードを観ているとエル・デバージが出てきて驚いたのだが、それ以上にビックリしたのが往年の名曲“I Like It”などを難なく軽やかに歌いこなしていたことだった。本誌でも昨年デバージを特集しているので詳細は各自調査していただくとして、94年に4枚目のソロ作『Heart, Mind & Soul』を出して以降のエルはコカイン絡みでシミケンどころじゃない回数の逮捕歴を更新しており、弟のチコやヤングらの作品に助力したりしながらも、近年はあの繊細な美声で歌えるのかどうかすらわからなかったのだ。

そんな驚きは実に16年ぶりの新作となった『Second Chance』にも引き継がれ、衰えとはまるで無縁な瑞々しい歌声を1曲聴き進めるたびに感動が積もっていく。今回救いの手を差し伸べた総監督のロン・フェアをはじめ、マイク・シティやジャム&ルイスらの重鎮が、まるで芸術品の修復のように歌い手の世界を崩さぬ丁寧な共作ぶりを心掛けているのも好ましい。フェイス・エヴァンスや50セント、ファボラスとの絡みも良好。誰がメロディーを書いたか一発でわかる“How Can You Love Me”や“Joyful”などの、完璧なデバージ節のタイムレスな麗しさには本当に泣いてしまいましたよ。

 

▼関連盤を紹介。

左から、エル・デバージのベスト盤『Ultimate Collection』(Hip-O)、ヤング・デバージの2006年作『The Hunt』(OCF)

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