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[LONG REVIEW] 冨田恵一WORKS BEST~ beautiful songs to remember ~

カテゴリ
o-cha-no-ma LONG REVIEW
公開
2011/03/04   12:02
更新
2011/03/04   12:18
ソース
intoxicate vol.90 (2011年2月20日発行)
テキスト
text : 桑原シロー

ポップ・マエストロの核心に迫る名曲集

昨今これほど〈いい曲〉ばかりが並ぶ作品集とお目にかかれることは稀だ。初恋中の気分が延々続くというか、トキメキの波状攻撃を受けて、やっぱり曲が残らなきゃ駄目なんだ、と身に沁みて強く感じさせてくれるとっても有難い冨田恵一箱。まず彼がアレンジやプロデュースを手がけた曲に冨田ラボとして発表した曲などをまとめた単体の『冨田恵一 WORKS BEST〜beautiful songs to remember〜』があり、それにプラスして、隠れた名曲を集めたもうひとつの〈WORKS BEST〉、冨田ラボの〈シップ・シリーズ〉完結編である『Shipahead』全曲のデモ集、新曲の制作風景をドキュメントした映像入りDVDから成るセットの2タイプが用意されているのだが、四の五の言わずに後者をゲットすべき。これぐらいのヴォリュームで食してこそ、彼の有難みがわかるというものだ。

それにしてもこういうコレクターズ・アイテムがよく似合う人っていまのシーンじゃ彼ぐらいだろう。コアなファンは当然、彼の実験室における研究過程が垣間見られるデモ集に飛びつくだろう。ただやっぱり肝は、〈WORKS BEST〉だ。その冒頭には新曲《エイプリルフール feat. 坂本真綾》が用意されている。坂本のニュー・アルバム『You can't catch me』ではすでに《ムーンライト(または“きみが眠るための音楽”)》という冨田制作の名曲が誕生しており、相性は良好という結果が出ていたが、今回のコラボ曲はそこでのレベルを上回る出来栄え。このシンガーの歌声を甘くツヤのある香りで包み込み、彼女が元来持つ透明感を十二分に引き出しており、このポップス職人によるカラーリング技術の高さをうかがい知れる好サンプルと言える。

TOMITA LAB "Live -combo-"

5/20(金)
[1st]Open5:30p.m. Start7:00p.m.
[2nd]Open8:45p.m. Start9:30p.m.

会場:ブルーノート東京
http://www.bluenote.co.jp/

出演:冨田恵一(キーボード、ギター、坂本真綾(ヴォーカル)、秦基博(ヴォーカル)、bird(ヴォーカル)、Hiro-a-key(ヴォーカル)村石雅行(ドラムス)鈴木正人(ベース)、松本圭司(キーボード、ギター)、山本 拓夫(ウッドウィンド、リード)西村浩二(トランペット、フリューゲルホーン)