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THE STROKES

連載
NEW OPUSコラム
公開
2011/04/21   16:49
更新
2011/04/21   16:49
ソース
bounce 330号 (2011年3月25日発行)
テキスト
文/新谷洋子

 

一時代を築いた彼らが、5年の沈黙を破って新たなフェーズへ突入する

 

 

ある世代を代表する顔役とはいえまだまだ成長期にあるのに5年の空白を開け、しかもほぼメンバー全員がソロ活動に精を出していたことはご存知の通り。となると、ゼロと言わないまでも人間関係とバンドのアイデンティティーを基本部分から再構築しながら、この4作目『Angles』は完成したと見て良さそうだ。実際、ジュリアン・カサブランカス(ヴォーカル)が一手に曲作りを担当していた過去3枚と違い、今回は全員の意見を平等に汲みながら曲を形成。引き続きガレージ~ポスト・パンクがサウンドの核にあるが、カーズからシン・リジィまで70〜80年代の幅広いアーティストの影響を各曲に散りばめて、エレクトロニックな要素も多用。曲展開にもヒネリを効かせ、総じてコラージュ的に断片をはめていったような印象があり、アップビート&ポップに曲をまとめているものの、彼らにとってもっとも実験性の高いアルバムになった。そうした実験のなかには少々生煮えのものもあるが、ストロークスがそれぞれにユニークな5つの音楽的人格の集合体であることを確認できるし、良い意味で進行中のプロセスの途中経過と捉えるべきなのだろう。

 

▼メンバーのサイド・プロジェクト作品を紹介。

左から、アルバート・ハモンドJrの2008年作『?Como Te Llama?』、リトル・ジョイの2008年作『Little Joy』(共にRough Trade)、ジュリアン・カサブランカスの2009年作『Phrazes For The Young』(RCA)