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ジム・ジャームッシュ『パーマネント・バケーション』『ダウン・バイ・ロー』『ストレンジャー・ザン・パラダイス』

カテゴリ
o-cha-no-ma LONG REVIEW
公開
2011/05/24   12:00
ソース
intoxicate vol.91 (2011年4月20日発行)
テキスト
text:渡邊琢磨(COMBOPIANO)

ジム・ジャームッシュ初期3作品がブルーレイ化!

ジム・ジャームッシュ初期3作品がブルーレイ化される。このレビューを書く為に初期の傑作『ストレンジャーザンパラダイス』を再見したところ、助演のリチャード・エドソン(初期ソニックユースのドラマー)演じるエディがニューヨークからはるばるクリーブランドにやってきてもなお「どこにいても同じ風景に見える」と、ぼやくシーンに共感してしまった。

エディのぼやきを「どこにいても落ち着かない」などと手前勝手に意訳したら、今の自分の気持ちを代弁してくれてるような気がして笑ってしまった。そのエディを始めこの映画の登場人物達は一様に適当で無計画、成り行き任せ。競馬、賭博で一山当てて、見知らぬ土地に行って、また賭博やってオケラになって、最後はヤクの売人から譲渡された汚い金を持って三々五々、散り散りになっていく。

ジャームッシュ初期三部作に通低するこの適当さ、腑に落ちない感じは、公開当時はロードムービー的というか、アンチクライマックスに思えたが、今日的な視点で見ると「これでいいのだ」的な清々しさと高揚感のある作品に思えた。

そんな私的感情はさておき、トム・ウェイツとジョン・ルーリーがニューオリンズのスワンプを疾走するシーン(『ダウン・バイ・ロー』)や、独特の色彩を帯びた処女作『パーマネント・バーケーション』で主演の青年がアール・ボスティックのレコードでダンスするシーンを、ハイビジョン高画質で見れる歓びは筆舌に尽くしがたい。