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PIZZICATO ONE

連載
NEW OPUSコラム
公開
2011/06/03   23:50
更新
2011/06/03   23:50
ソース
bounce 332号 (2011年5月25日発行)
テキスト
文/北爪啓之

 

ピチカート・ファイヴの解散から10年、待望のソロ作は〈悲しい歌〉に彩られ……

 

 

もうそんなに経つのか……と感慨も深いが、ピチカート・ファイヴが解散してちょうど10年。その後もDJや音楽プロデューサーとして八面六臂の活躍を続けてきた小西康陽だが、ついに初のソロ・プロジェクト=PIZZICATO ONEとして新たなスタートを切った。『11のとても悲しい歌』という粋な題の付けられた本作には、物悲しくも洒落た序曲に導かれるようにして11の英語曲のカヴァーが収められ、曲ごとに多彩なヴォーカリストが参加している。

これが驚くほどに豪華で、ジョン・レノンの“Imagine”にはクロスオーヴァー・ジャズの歌姫、マリーナ・ショウ。マリリン・モンローでお馴染みの“I Wanna Be Loved By You”をスウィンギンに歌うのは、イケメン若手シンガーのウーター・ヘメル。さらに、ブラジルからは御大マルコス・ヴァーリが自作の“If You Went Away”に参加し、ソフト・ロックの伝説・ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズは、本作のために再集結して流麗極まりないハーモニー・ワークを披露している。他にも、いまをときめくマイア・ヒラサワやUSオルタナ・ポップの良心・エリック・マシューズなどなど、枚挙に暇がない。

タイプの異なる歌い手たちを絶妙なセンスで配しながら、全編をジャジー&メランコリックなトーンで統一し、有名曲も独自の解釈でサラリとアレンジしてのける手腕は流石の一言。世界に誇るべきコンポーザーとしての魅力を遺憾なく発揮した好盤だ。

 

▼『11のとても悲しい歌』に参加したアーティストの作品を一部紹介。

左から、マリーナ・ショウの74年作『Who Is This Bitch, Anyway?』(Blue Note)、ウーター・ヘメルの2009年作『Nobody's Tune』(Dox)、マルコス・ヴァーリの2010年作『Esphera』(T.A.C.S)、ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズの2007年作『Full Circle』(Roger Nichols/Now)

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