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cali≠gari @ 日比谷野外大音楽堂 2011年6月18日(土)

連載
bounce編集部のイマココ。
公開
2011/06/19   22:00
テキスト
文/土田真弓

 

コートofレイン(密室仕様)

 

昨年3月のミニ・アルバム『≠』をもって消費期限切れしたcali≠gariの再起Doライヴ、2デイズの初日に行ってまいりました。

土砂降りではないけれども、傘がないとずいぶんしっかりと濡れる……という天候のなか、ゲートで手渡された〈密室〉仕様のコートofレイン(↑)を着用。自席に辿り着いて会場全体を見渡すと、場内は黄色で埋め尽くされております。

黄色×赤の組み合わせは、なんだか幼稚園とか小学生っぽいなあ……などと思っていると、メンバーがわらわらと登場。
あたりまえですが、野音は野外ですので〈客電が下りる〉というわかりやすい開演の合図がないのですね。
スタッフの方かと思いきや、いつの間にか4人がステージ上に揃っていた感じ……なのですが、最後に現れた石井さんを観て、隣席のタワースタッフと二人で目を疑ったわけです。

「……剃り上げてます?」「そんなふうに見えますよね……」

Cブロックの後方から、という遠目ですと、石井さんのヘアスタイルがどこか落ち武者風情と申しますか、前髪にあたる部分を頭頂部まで剃り上げているように見えまして、それはそれで斬新……いや、斬新にしても限度が……あっ、剃り上げているように見える部分はもしかして、シルバーの仮面? ……などと思いを巡らせながらステージを凝視しても、まったく見極められず。そんな逡巡はこの日のステージのほぼ全編に渡って続き、謎がはっきりと解けたのはアンコールのラスト“エロトピア”のときでございました。

あいだにファンクラブ限定のものを2度挟んでいるとはいえ、公には2010年2月の日本武道館以来、1年4か月ぶりとなる今回の公演。セットリストは以下の通りで、鉄板曲の合間にめったに披露されない懐かしめの曲、そして彼らが現在進行形であることの証となる新曲を交えて〈ショウ〉を構成。まだ2日目を観ない状況でこれを書いているので、その〈ショウ〉の具体的な中身に関しては別の機会に取っておくことにして、ここでは初日だけのものであろうトピックを、時系列で箇条書きします。一気に書き切ってますので長いです。

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・間奏のジュリアナ的なシンセ・リフのところで青さんが扇子を振る“マッキーナ”。この日は通常よりお立ち台タイムが長めに取られておりまして、青さんはステージ中央から前面に向かって長く伸びる花道いっぱいを使って、ピンク色のファー付き扇子を振って、振って、振りまくっておられました。

・その直後の石井さんのMC。客席からの「可愛い!」という呼び掛けに対して「そういうつもりじゃなかったんだけど、なかったんだけども、今日はちょっと可愛くなったかな」と。落ち武者に向かって「可愛い」はないだろうなあ……ということで、なかの人はこの時点で〈落ち武者説〉を消去いたしました。

・石井さんも「打ち込みを超やり直してきた」と語っていた“デジタブルニウニウ”はプログラミングのシンセ部分が原曲より華やかな印象。そして、石井さん個人としては何回かしか歌ったことのない曲、という“夏の日”。このあたりは、活動休止ライヴ以来8年ぶりの野音、というメモリアルなステージだからこそのレアなメニューかもしれません。

・その間に置かれた新曲。タイトルを出してはいけないらしいので書きませんが、ステージ上の大型スクリーンには曲名がしっかりと出ておりましたので、会場にいた方々はおわかりのはず。そこはかとなく永ちゃん的なフックが感じられたような気がいたしますが、恐らく石井さんが手掛けたものでしょう。

・モニターに映し出された雨の映像をバックに、“続、冷たい雨”からシームレスに“冷たい雨”へ。ここは、今日が雨で良かったとしみじみ思えたシーン。お客さんもじっくり聴き入っておられましたが、石井さんいわく「われわれもね、齢のほうがアレなんで、そっちのほうから(煽らずとも盛り上がるように)ね」。

・研次郎さんのコール&レスポンス的な恒例のMCコーナーもありました。その要約をいくつか。

「基本的にcali≠gariのライヴの7割は、しんみりしてるんだぞ!」→そして、残りの3割を自分が盛り上げる、といったようなことをおっしゃってました。

「野音が埋まるとか埋まらないとか、そんなことはどうでもいいんだ! 俺と誠にとっての心配ごとは、うちわの売上だ!」「俺と誠のぶんは最初から少なく用意されてるんだ! そんな同情はいらねえ!」→本当に恒例の、メンバー個々のうちわの売上ネタ。

「次の曲は俺のベースから始まるんだ!」→MC明けの楽曲は“混沌の猿”。イントロで自分に注目してほしいんだけれども、この曲は青さんがバナナを客席に投げるというパフォーマンスがあるため、どうせお客さんはみんな青さんを観るだろうと。そんな話の最後を「お前らの青に対する視線を、俺に対する視線だと、勝手に前向きに捉える!」とある種、悲壮な決意で締め括った直後、テンパっていらっしゃったのか、突如、青さんを本名で呼んでおられました。

・1回目のアンコールで、この日2曲目となる新曲=AOR風のアダルトな空気が漂うメトロポリタン歌謡を披露。こちらは青さんが手掛けたものでしょう。

・2回目のアンコール前で、青さんのMC。「ビジネス街のど真ん中で、限りなく卑猥な愛を叫んでみたいと思います。皆さんの熱いパトスを解放していただければ。パトス、解放したいかしら!?」「イエ~!!」――と、お客さんとのコール&レスポンスに突入→そのまま絶頂まで持っていってイントロに雪崩れ込……むのかと思いきや、「待って待って待って、パトスって何?」と、唐突に流れをぶった切る石井さん。「最近、大体パトスで片付けようとしてるんですよ。イミダスで調べてください」「有名なんですか? パトスは」「そこそこ?」「ごめんなさい、先に進んでください」→そして、仕切り直して“エロトピア”。

ふたたびコール&レスポンスをリフレイン→青さんの「レッツ・ショウタ~イム!!」という叫びに続いて二人ずつ呼び込まれた計6名のドラァグクイーンの皆さま。一瞬にしてランウェイ化した花道を、露出度の高い……と申しますか、むしろ露出がテーマなのであろうと思しき衣装で艶めかしく練り歩く彼女たちとエロティックに絡み合う青さん。そんななか、ステージ両脇からはポール状のバルーンが立ち上がるわ、ドラァグクイーンの方々が客席へ向かって放水するわで、エンディングは演出がてんこ盛り。そのため正直なところ、最後の最後だというのに、この曲のあいだはほとんどバンド・メンバーを観ておりませんでした。

・誠さんは一切しゃべりませんでした。

以上です。

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そして、終演後の青さんと石井さんですが……、

青さん「最初に音が飛んじゃって、そのあとずっとテンパっちゃって(哀しげな微笑)。明日もがんばります」

続いて石井さん。

なかの人「髪、切られたんですね。ボブ……ですか?」
石井さん「ボブじゃないです、石井です」
なかの人「そうですよね……ボブさん、じゃないですよね……石井さん、ですよね……」

――と、ご挨拶のときですら予想外の切り返しをされるので気を抜くことは決して許されないのですけれども、冒頭の〈今日のヘアスタイルが落ち武者に見えた件〉を恐る恐るお伝えしましたところ、笑っておられました。でも想定外でいらしたのか、納得がいかなかったのか、その場に居合わせた関係者の方に「自分が落ち武者に見えたらしい」という話をした結果、やはり激しく同意される……という憂き目(?)に遭われておいででした。

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そして結局、メンバーの皆さんの衣装はどのような感じだったのかと言いますと、

石井さん→ヘアスタイルは、ぱっつんに揃えた前髪部分のみ金髪で、後頭部はアップ(?)。白のノースリーブ+グレーのサルエルパンツ。なんかひらひらしたものが付いていた気がします。
青さん→チェックのジャケットに民族柄、もしくはノルディック柄(?)のハーフパンツ。
研次郎さん→薄いゴールドのペラペラした素材でできている〈くノ一〉的なデザインの衣装で、逆毛+タレサン。
誠さん→襟ぐりが大きく開いたカットソー(ドラム・キット越しのため、ボトムは確認できず)。

――のように、見えました。見えただけですので、実際はまったく異なるかもしれません。ちなみに今回のライヴ、ステージ上の写真は用意されないそうです。

このようなところで、本当に以上です。
2日目についても、そのうちにしれっとアップされていることでしょう。

では、最後にセットリストを。マネージャーさんいわく「新曲は珍曲って書いておいてください」とのことでしたので、それに倣った表記をしております。

 

cali≠gari #7 10th Caliversary GIG 「真梅雨の野外 ~再起Do?~」 6月18日(土) セットリスト

 

01. ハイカラ・殺伐・ハイソ・絶賛
02. 反ッ吐
03. まほらば哀愁
04. マッキーナ
05. ハラショー! めくるめく倒錯
06. デジタブルニウニウ
07. 珍曲1
08. 夏の日
09. 続、冷たい雨
10. 冷たい雨
11. 散影
12. ダダンディダンダン
13. ―踏―
14. マネキン
15. マグロ
16. 混沌の猿
17. ブルーフィルム
―アンコール―
01. スクールゾーン
02. オーバーナイトハイキング
03. 珍曲2
―アンコール2―
04. エロトピア