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REVOLVER

連載
360°
公開
2011/07/06   00:00
ソース
bounce 333号 (2011年6月25日発行)
テキスト
インタヴュー/梶野彰一


REVOLVERのFLAVOURを体現した刺激的なコンピの登場だ



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東京発信で注目を集める2つのファッション・ブランドのデザイナー、REVOLVERのKIRIとPHENOMENONのBIG-Oことオオスミ・タケシ。BIG-OがかのSWAGGERを始める前からの付き合いになるという両者のコラボレートから今回生まれたのは、洋服ではなく音楽だ。KIRIが監修した『REVOLVER FLAVOUR』(アートワークは2005年から同ブランドのアートディレクターを務めるソー・ミーが担当)と題されたコンピレーションが完成し、同作のためにBIG-Oは久々のラップを披露している。ここでは、コンピの成り立ちやコラボの経緯について2人に話を訊いた。

——そもそもコンピを発案したきっかけは?

KIRI(以下K)「以前から自分のブランドのサウンドトラック的なものを作りたかったというのもあったんですが、オオスミ君からの〈KIRI、CD作んなよー〉っていう一言が大きかった気がします。あとは、わがまま放題の内容を許してくれたレコード会社に感謝です」

——選曲に大まかなテーマはあったんでしょうか。

K「自分の中では確実に繋がってる世界観なんですが、ダーティー、ゴシックかつロマンティックというか。まさに自分が一日で聴く音楽のバランスがそのまま出ちゃった感じもありますし、個人的には精神的に落ち着く内容でもあります」

——フェッズやハイ・パワード・ボーイズのエクスクルーシヴ曲も話題になりそうですね。

K「昔からの信頼関係のおかげで、二つ返事ですぐにやってくれました。彼らは曲と本人のキャラクターが不思議とリンクしてて、REVOLVERの服も本当に似合うんです。そのへんも、彼らにエクスクルーシヴ曲をお願いした理由の1つと言えます」

——そんなエクスクルーシヴ曲のひとつに、オオスミさんのラップする“Yes”がありますね。

BIG-O(以下O)「KIRIの〈やってね〉に対して〈やります〉とずっと答えていたんですけれど、最初にCDを作るという話が出てからはずいぶん長かったよね」

K「オオスミくんが〈やりなよ〉と言ってくれてから3年くらい経ちますね。具体的なヴィジョンが見えてきたのは去年の年末くらい」

O「自分もなかなか時間を作れず、お待たせした部分もあったんですけど……」

K「極端に言えば、オオスミくんが忙しくて数か月は動けないとしても、待ったと思います。このアルバムはそれくらい内容が重要で、レコード会社には迷惑をかけたとしても、自分の理想の形にならなければ〈やっぱりやめた〉となりかねなかった(笑)」

——他の収録曲がトラックものが多いなか、日本語が響くラップ・スタイルというのもあり、BIG-Oはすごく際立った存在感があります。今回のトラックメイカーはフランスのチームですね?

O「グッチ・ヴァンプというブロディンスキーとギヨーム(シューズ)のユニットですね。もともとテキ・ラテックスのサウンド・ペレグリーノからシングルを出していた。KIRIからグッチ・ヴァンプがトラックを作ると聞いた時点ですごく楽しみで、光栄です、という感じでした」

——グッチ・ヴァンプとオオスミさんを引き合わせたのはKIRIくんの企てだったんですか?

K「実はもともとはいくつか候補があって。最初はMr.フラッシュとオオスミくんというの考えていたんです。彼の既存のトラックにオオスミくんのラップをと思っていたら、権利関係や名義の問題もあり、結局誰かに新しいトラックを作ってもらおうと……。そんななか、グッチ・ヴァンプが気合いの入ったトラックをいきなり5曲くらい送ってきてくれたんです。こういう時って、向こうのモチヴェーションも重要で、オオスミくんもグッチ・ヴァンプのファンだったので、この曲が生まれました」

——オオスミさんはいまやファッション・デザイナーとしての顔が前面に出ていますが、久しぶりにラップで参加というのはどういう感じでしたか?

O「実際、いまは音楽にちゃんと時間を割けていないかもしれません。でも、自分にとっては現在のような状況が理想なのかも。やるからには自分が好きなことだけやりたい。ここ最近はGAINESやDEXPISTOLSだったり、今回のグッチ・ヴァンプだったり、本当に自分が好きな人と音楽を作らせてもらう機会に恵まれていて、すごく幸せだと思っています」

——一方のKIRIくんもPSYCLICKSとして今回“Twist Of Cain”を提供していますね。

K「曲に関しては、もともとヒップホップのプロデュース・ユニット的な感じでMAAR君と組んだので、自分の好きなサウスのギャングスタ・ラップを反映させたうえで、オリジナリティーがしっかりあるダーティーなダンス・ミュージックというのを意識して作りました。PSYCLICKSの世界観をしっかり表現した内容のEPとかも年内にリリースできれば嬉しいです」

——タイラー・ザ・クリエイターなど、名前だけ見れば意外に思えるメンツの曲も並んでいますね。

K「タイラーは楽曲の良さはもちろんのこと、何も恐れない正直な彼のアティテュードが大好きで、自分も今の歳になって逆に感化される部分もあります。他にはガール・ユニットやクリープなど、サウスのヒップホップをユニークに消化したスタイルの楽曲や、自分の聴いた回数が去年ダントツ1位だったカヴィンスキーの“Nightcall(Breakbot Remix)”のようなディスコものが、一枚を通して心地良い流れで聴いてもらえればと願ってます」

——オオスミさんは『REVOLVER FLAVOUR』を聴いてみてどんな印象ですか?

O「自分が勧めたとはいえ、自然にこんなコンピが作れてしまうKIRIは単純にすごいと思いました。普段話していても僕らの音楽の趣味はかなり近いんです。だから信頼できるし、今回も思っていた通りKIRIが好きなものばかりが並んでいるアルバム。フラットな立ち位置でKIRIの周りにはみんなが集まってくる感じあって、おもしろいことをしているとこういうことになるんだな、というのがこの『REVOLVER FLAVOUR』に出ていると思います」



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