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SERJE GAINSBOURG

連載
NEW OPUSコラム
公開
2011/08/15   18:00
ソース
bounce 332号 (2011年5月25日発行)
テキスト
文/村尾泰郎

 

永遠の伊達男が発する危険な香りに昇天……

 

SergeGainsbourgh_A

 

フレンチ・ポップ界の帝王にして異端、セルジュ・ゲンスブール。その全キャリアに渡る貴重な映像をまとめたDVDがリイシューされた。デビューから晩年に至るまでのPVやTVショウへの出演時の模様、ライヴなどさまざまな素材を時系列に編集した「セルジュ・ゲンスブール 1958-1969」「セルジュ・ゲンスブール 1970-1989」の2本だ。まず、〈1958-1969〉は正統派シャンソン歌手としてデビューしたゲンスブールがビッグになるまでの記録で、デビュー時の彼はスーツをビシッとキメたクールな殺し屋みたいな雰囲気。フランス・ギャルや女優のアンナ・カリーナなど美女たちと共演する様子も収録されているが、なかでも当時のセックス・シンボル、ブリジッド・バルドーとデュエットするゲンスブールはポップスターの貫禄十分だ。

そして〈1970-1989〉では、運命の恋人、ジェーン・バーキンとのさまざまな共演を収録。なかでも71年の名作〈メロディ・ネルソンの物語〉を全曲映像化したドキュメンタリーでの熱愛ぶりは必見だ。さらに愛する娘、シャルロット・ゲンスブールとの禁断のデュエットも見逃せない。2作とも2時間を超えるヴォリュームで、ファッションやサウンドを変化させながら、アートとエロで時代を挑発し続けたゲンスブールの生き様を垣間見ることができる。

また、彼が監督を手掛けた映画「赤道」(84年)も同じタイミングで初DVD化。アフリカにやって来たフランス青年が魔性の人妻に翻弄されるという官能サスペンスで、ゲンスブールは脚本や音楽も担当。アフリカの熱気そのままに、むせかえるような頽廃ロマンが渦巻いている。音楽と映像がじっとり絡み合ったゲンスブールの世界に、心ゆくまで浸れるはずだ。

▼文中に出てきた作品を紹介

左から、「セルジュ・ゲンスブール 1958-1969」、「セルジュ・ゲンスブール 1970-1989」(共にユニバーサル)、初DVD化されたセルジュ・ゲンスブール監督映画「赤道」(キング)

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