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THE END OF SEASON

連載
NEW OPUSコラム
公開
2011/08/15   00:00
ソース
bounce 335号 (2011年8月25日発行)
テキスト
文/佐藤一道


夢見心地なグローファイ/チルウェイヴ盤を 聴きながら、夏の終わりをまったり過ごそう



NEON INDIAN

NEON INDIAN_A



今年前半にフレーミング・リップスとのコラボが話題となったテキサス出身のアラン・パルモによるソロ・ユニット。ヘルシンキでレコーディングされ、リップスやマーキュリー・レヴなどで有名なデイヴ・フリッドマンがミックスを担当したというセカンド・アルバム『Era Extrana』(Mom+Pop/Yoshimoto R and C)は、2009年作『Psychic Chasms』でのチープな電子サウンドから一段進化し、幾分シューゲイザーな手触りも含んだ、深みのあるシリアスな作風へとシフトしている。〈スケール感の獲得〉という点ではウォッシュト・アウトの新作『Within And Without』と同じヴェクトルでの成長とも言えるけれど、よく聴くと前作で大きくフィーチャーされていたドラッギーな電子音があちこちで空間を歪めていて、本来のドープさも失われていない。



ACTIVE CHILD

ACRIVE CHILD_A



LA出身のアクティヴ・チャイルドことパット・グロッシは、例えば近年のボン・イヴェールやハウ・トゥ・ドレス・ウェルら、いわゆる美声系(?)のそれにも連なる個性の持ち主だ。ファースト・アルバム『You Are All I See』(Vagrant/PLANCHA)ではチープなシンセ音&ビートに乗せて、かつてフィラデルフィア少年合唱団に所属していたという彼のファルセット・ヴォイスをただひたすらに美しく響かせている。しかし何より最大の特徴は、パットみずからが奏でるハープ音。この古典楽器がもたらす壮麗な雰囲気が、サウンドの崇高さに一際磨きをかけている。



TEEN DAZE

TEEN DAZE_A



10代の日々(Days)/めまい(Daze)をかけたと思しき、いかにもな名前を持つカナダ出身のニューカマー。ファースト・ミニ・アルバム『A Silent Planet』(Lefse/PLANCHA)で聴けるリヴァーブ過多な音のなかをたゆたう歌声は、まるで水族館の水槽をゆらゆらと回遊するクラゲの如し。そんな〈揺らぎ〉から独自の美意識が立ち昇る様は〈正当派グローファイ/チルウェイヴの最新型〉といった趣も。ただし、ウォッシュト・アウトのファーストEP『Life Of Leisure』みたいな開かれたリゾート感ではなく、深海3,000mを散歩しているかのような、内省的な感覚がより強い。



PURE X

PURE X_A



テキサスはオースティンから登場したトリオ。リヴァーブの効いたギター&ヴォーカルが描き出す、ダウナーでとろ〜んとした掴みどころのないサウンドが特徴的なファースト・アルバム『Pleasure』(Acephale/DIFFUSE ECHO)は、〈茫洋〉という言葉がよく似合う。リアル・エステイトからルナ、初期のクリアンテル、果ては60年代USサイケのレイジー・スモークあたりまでをも想起させる、グローファイ/チルウェイヴを通過したレイジーなまどろみ感が未知の喜びを呼び覚まし……。パッと聴きは地味だけど、繰り返し聴くとじわじわと遅効性の毒が全身に回ってくるので要注意。



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