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WELL I'M BACK!!

連載
NEW OPUSコラム
公開
2011/08/31   00:00
ソース
bounce 335号 (2011年8月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次


スライ・ストーン、まさかの新作!!



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スライ・ストーンが〈帰還〉を謳うのは、今回の新作『I'm Back: Family & Friends』が初めてではない。解体したバンドの再編を試みた『Heard Ya Missed Me, Well I'm Back』(76年)、レーベル移籍作『Back On The Right Track』(79年)、いずれもが結果的に不在への前ぶれだったのは歴史が物語る通りだ。が、今回ばかりは前向きに捉えておきたい。〈新作〉と軽く言ってはみても、彼のアルバム履歴が更新されるのは29年前の『Ain't But The One Way』(82年)以来なのだ。トリビュート盤の好評を受けた2006年のグラミー授賞式で約20年ぶりに人前に現れ、翌年にはツアーを敢行し、旧友ジョージ・クリントンとも共演。クレオパトラとの契約後も一時は音信不通だったそうだが、空白の時代を思えば駆け足のような復活劇じゃないか。

アルバムの中心は、本人の新録パートと豪華ゲストのパフォーマンスによる過去の名曲リメイク。“Dance To The Music”であのオルガンを響かせるレイ・マンザレク(ドアーズ)を筆頭に、ジェフ・ベックやカーマイン・アピス、アン・ウィルソン(ハート)、ジョニー・ウィンター、そしてブーツィー・コリンズらが伝説に新たな解釈を加えている。また、完全な新曲も3つ収められていて、それが隠遁する直前の88〜89年に作ったものだという時間軸の独自っぷりにもクラクラするが、いずれにせよこんな作品が世に出るだけでも奇跡のようなことだ。



▼関連盤を紹介
左から、スライ&ザ・ファミリー・ストーンの82年作『Ain't But The One Way』(Reprise)、2006年のスライ・トリビュート盤『Different Strokes By Different Folks』(Epic)、ジョージ・クリントンの2007年作『His Gangsters Of Love』(Shanachie)、ブーツィ・コリンズの2011年作『Tha Funk Capital Of The World』(Megaforce)