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BELLA UNION

連載
NEW OPUSコラム
公開
2011/10/31   00:00
ソース
bounce 337号 (2011年10月25日発行)
テキスト
文/佐藤一道

 

UKの人気インディー・ロック・レーベルの動きが、この秋、活発化していますよ!!

 

コクトー・ツインズのサイモン・レイモンドとロビン・ガスリーが主宰し、拠点をロンドンに置くベラ・ユニオン。フリート・フォクシーズを輩出したことで知られ、最近ではビーチ・ハウスやフィル・セルウェイ(レディオヘッド)のソロ作も出している同レーベルが、この秋リリース攻勢に出ています。

で、エミー・ザ・グレートらと共にUKニュー・フォーク・シーンを盛り上げている女性シンガーのアレッシズ・アークや、今年の〈コーチェラ〉でエリカ・バドゥのステージにも登場したLA在住サイケ・フォーク野郎のジョナサン・ウィルソン、〈スウェーデンのマイ・ブラディ・ヴァレンタイン〉ことアイ・ブレイク・ホーセズの新作が続々と入荷しているなか、ここではアルバム・デビューを飾ったばかりの要注目なニューカマーをピックアップしてご紹介しましょう。フリートのブレイク以降、世間的にフォークっぽいイメージがついているベラ・ユニオンですが、彼らの登場によってレーベルに新たな風が吹きそうな予感ですね。

 

▼関連盤を紹介。

左から、アレッシズ・アークのニュー・アルバム『Time Travel』、ジョナサン・ウィルソンのニュー・アルバム『Gentle Spirit』、アイ・ブレイク・ホーセズのニュー・アルバム『Hearts』(すべてBella Union/Co-op)

 

ZUN ZUN EGUI

 

ズン・ズン・エグイ! 何ともイカしたユニット名を持つこのバンドは、モーリシャス出身の男子(ギター&ヴォーカル)と日本人女子(キーボード)と2名の英国人男子(リズム隊)から成るブリストルの4人組。アフリカン・パーカッションに乗せて放たれるトライバルな祝祭感に、現代的なポップさとプログレ風味が混ざり合った彼らのファースト・アルバム『Katang』(Bella Union/Co-op)は、ベラ・ユニオン内に限らずUKシーン全体を見てもかなりユニークな一枚と言えよう。ポップ・グループやマッシヴ・アタックを生み出したかの地ならではの、異文化の衝突→融合っぷりがとっても刺激的。BOREDOMS meetsディアフーフinアフリカ!? エグさと人懐っこさが同時にズンズン押し寄せてくる。

CASHIER NO.9

 

キャッシャーNo.9はアイルランドの5人組。アイルランドというと独特の〈熱さ〉を持ったバンドを思い浮かべてしまうけれど、彼らのファースト・アルバム『To The Death Of Fun』(Bella Union/Co-op)で鳴らされるのは、ストーン・ローゼズにフレーミング・リップスが溶け合ったかのような、メロディアスなサイケデリア。英米サイケの美味しいところ取りとも言える、ありそうでなかったバランス感が絶妙で、歌メロ作りの巧さも光っている。ちなみに、プロデュースは同郷のDJ、デヴィッド・ホルムズ!

LANTERNS ON THE LAKE

 

男女カップルを含むニューキャッスル在住の6人組。ヴァイオリンやピアノ、鉄琴にマンドリン、シンセなどなど、さまざまな楽器を駆使しながらゆったりと展開されていくサウンドスケープは、〈湖水の灯火〉というバンド名にピッタリで、ロウやシガー・ロスあたりを想起させる幻想性の強いもの。そんなわけで、このファースト・アルバム『Gracious Tide, Take Me Home』(Bella Union/Co-op)は、最近の新人勢のなかでも従来のレーベル・カラーに沿った音を聴かせてくれる。

VERONICA FALLS

 

パステルズ主宰のジオグラフィックからアルバム1枚を残して解散したスコティッシュ・バンド、ロイヤル・ウィーのメンバーがロンドン移住後に結成した4人組、ヴェロニカ・フォールズ。メンバーが初めて出会ったのがコメット・ゲインのライヴ会場だったというエピソードや、USではスランバーランドからのライセンス・リリースということからもうっすらわかるように、こちらのファースト・アルバム『Veronica Falls』(Bella Union/Co-op)では、トウィー・ポップの由緒正しき後継者といった趣のサウンドを展開(スミスへのオマージュもチラリ)。ベラ・ユニオンとしてはやや異色のアクトだけれど、ポップさのなかに寒色系のサッドな感覚が宿っている点に、他の所属アーティストとの共通項を解く鍵があるはず!?