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Weather Report『ベスト・ライヴ・セレクション~ザ・ジャーマン・コンサーツ 』

公開
2011/10/17   15:15
ソース
intoxicate vol.93(2011年8月20日)
テキスト
text:稲田利之(梅田大阪マルビル店)
1975年、78年、83年に行われたドイツでのライヴの記録をCDとDVDでリリース



1966年、エレクトリック・ピアノを大々的にフィーチャーした『マーシー・マーシー・マーシー』を大ヒットさせたサックス奏者のキャノンボール・アダレイは、秘蔵っ子の鍵盤奏者ジョー・ザヴィヌルとともに、いち早くフュージョン・サウンドを進化させていく。

一方、1969年『イン・ア・サイレント・ウェイ』と『ビッチェズ・ブリュー』を制作したマイルス・デイビスは、エレクトリック・ピアノの導入に始まり、ロックやリズム・アンド・ブルーズの要素を取り入れ、センセーショナルにトレンドを発信。

マイルスとの活動と並行して、ブルーノートに『スーパーノヴァ』などのリーダー作を残し、自らの進むべき方向性を示唆し始めていたサックス奏者のウェイン・ショーターは、ジョー・ザヴィヌルと意気投合し、その後、1971年から1986年までの15年間、『ウェザー・リポート』として、活動を共にすることとなる。

今回、異なる3つの時期のライヴをまとめた『ベスト・ライヴ・セレクション〜ザ・ジャーマン・コンサーツ』が、3DVDと5CD+DVDの2形態で発売された。

結成から8年もの間、目まぐるしくドラマーが交代したウェザーでは、ファンク色濃厚なエレクトリック・ベース奏者アルフォンソ・ジョンソンの加入が、特にリズム面での大きな転機となった。『ミステリアス・トラベラー』リリース後の1975年ドイツ・ベルリンでのライブ音源では、重厚で多彩なグルーヴに圧倒される。

ジャコ・パストリアス(b)加入後、ピーター・アースキン(ds)参加の1978年ドイツ・オッフェンバッハでのライブ音源は、『ブラック・マーケット』『ヘビー・ウェザー』『Mr.ゴーン』あたりの人気曲満載で、ジャコのカリスマティックなプレイは、やはり聴き所満載。

最後に、1983年ドイツ・ケルンでの音源は、オマー・ハキム(ds)加入後、ヴィクター・ベイリー(b)を迎えて、若手に一新されたリズム陣が実に刺激的なライヴセット。ザヴィヌルの信望の厚かったハキムが繰り出すグルーヴが、ウェザーのレパートリーの数々を実に新鮮に響かせる。