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マルタ・アルゲリッチ『シューマン&ショパン:ピアノ協奏曲』

公開
2011/10/25   13:13
ソース
intoxicate vol.94(2011年10月10日)
テキスト
text:谷川和繁(タワーレコード本社)

KAJIMOTOレーベルから東日本復興支援のためのチャリティCDとしてリリース!


2011年6月、マルタ・アルゲリッチが70歳を迎えた。わずか8歳でベートーヴェンの協奏曲を公開の場で演奏し、スカラムッツァ、グルダ、マガロフ、ミケランジェリ…錚々たるピアニストの教えと共にその天才ぶりを示したアルゲリッチは、ブゾーニ&ジュネーブの国際コンクール優勝、ドイツ・グラモフォンからのデビュー・アルバム・リリース、そして第7回ショパン・コンクール優勝。その後はコンチェルトやリサイタルを世界各地で行う人気・実力ともに世界トップ・クラスのピアニストとして活躍するが、徐々にステージへの恐怖からかキャンセルも多くなり、この十数年はもっぱら室内楽演奏に専念しているようにも見える。日本では彼女の名を冠した『別府アルゲリッチ音楽祭』で毎年のように来日し、コンチェルトや室内楽など、その演奏を堪能することもできるのだが。

そんなアルゲリッチが2010年に、生誕200年を迎えたショパンとシューマンの協奏曲を東京で披露した。期待と不安を胸に多くのファンが足を運んだことは想像に難くないが、この2日間のコンサートを体験したファンは夢幻の一時を味わったのではないだろうか。アルゲリッチが十八番としているシューマンとショパンの協奏曲は、いくつものCDがリリースされているが、この5月に発売されたCDはその時のコンサートを収録したもので、シューマンはもちろんだが、ショパンがひときわ素晴らしい。第2楽章ロマンスは、孤高の美しさと祈りにも見紛うモノローグ、自在に歌われる歌に思わず耳を傾ける。このわずか10分ほどの時間にアルゲリッチの素晴らしさが凝縮されているといっても過言ではないのかしれない。アルゲリッチ自らの提案により東日本復興支援のためのチャリティCDとしてリリースされたのだが、この10月には、その第2弾もリリースされるという。この2011年秋は、アルゲリッチから耳が離せない。